車全体がすっぽり入るエアドーム《撮影 中尾真二》

オートモビルカウンシル2019のヤナセブースになぜか巨大な風船。その中にはヤナセの輸入車ビジネスのきっかけとなったフォルクスワーゲン「タイプ1」の輸入第一号車がすっぽり収められている。これは、屋内用の車両保護カプセルだ。

原理は簡単で、透明なPVCとベースマットで作られた立方体のエアドームの中に車両を保管し、ほこり、害虫、その他から保護するというもの。サイズは各種取り揃えてあるようで、展示のもので全長約5メートル、幅約2メートル、高さ約1.8メートルといったところ。ベースマットとPVCカバーはジッパーで大きく開閉できる。エアーは専用のファン(送風機)で送り込む。ファンはACアダプターで電源を供給し、この大きさで5分ほどでふくらむという。

ファンは最適な空気圧と内部の循環を保つため制御されている。屋内用カプセルも適度な圧力で膨らんでいるため、物理的な衝撃への一定の耐性もある。ただし、エアコン機能はないので、湿度・温度の調整・管理はできない。なお、完全密閉ではないのでファンは回し続ける必要がある。同社が実際に使ってみての電気代は月500円以下だそうだ。

値段はサイズによって10万円から20万円の範囲。他にも屋外用やバイク用、ショーケースのように柱構造がついたカプセルもある。屋外用は素材も頑丈なもので不透明なカプセルとなり日光、紫外線なども遮断する。

おもに、ディーラー、ショップ、博物館向けの製品のようだ。整備工場などでは預かった車の保護、保管に使えるかもしれない。個人でもクラシックカーやビンテージカーをコレクションしているような人にはニーズがありそうだ。ガレージの中は意外とほこりが積もる場所だ。とくに外からの砂ぼこりはボディを傷つけるし、塗装にもよくない。

ショーケース用の製品《撮影 中尾真二》 屋外用は素材も異なり不透明《撮影 中尾真二》