カーオーディオでは、「サウンドチューニング機能」がさまざま活用されている。車内には音響的な不利要因がいくつかあり、「サウンドチューニング機能」を用いるとそれらへの対処が可能となるからだ。当連載では、その設定方法を紹介している。
現在は、マルチウェイスピーカーに対して再生範囲の割り振りを決める機能である「クロスオーバー」の使い方を説明していて、まずはフロントスピーカーとサブウーファー間にて当機能を運用しようとするときの操作方法を解説している。
なお「クロスオーバー機能」が搭載されているメインユニットは多くはないが、当機能が搭載されている機種には大抵、併せて「タイムアライメント」も搭載されている。なのでフロントスピーカーとサブウーファー間の「クロスオーバー」を設定するときには仕上げに「タイムアライメント」も設定すると、「低音の前方定位(シート下やトランクに置かれたサブウーファーの音も前から聴こえてくる状態のこと)」の完成度を上げられる。
で、「タイムアライメント」についての詳しい解説は新たな章に突入してから行うが、ここでも簡単にその設定方法を紹介しておきたい。
まず「タイムアライメント」とは、近くにあるスピーカーに対して発音タイミングを遅らせられる機能だ。そしてそうすることで、すべてのスピーカーから放たれる音の到達タイミングを揃えられ、すべてのスピーカーから等距離の場所にいるかのような状態を作り出せる。
ちなみにその設定においてキモとなるのは、リスナーから各スピーカーまでの距離の測定だ。それが正確に行えると、その数値を入力しただけで発音タイミングがある程度揃う。
では、距離測定の方法を説明していこう。まずフロントスピーカーからの距離だが、メインユニットに搭載されている「タイムアライメント」では多くの場合、ツイーターとミッドウーファーとが別々の場所に取り付けられていてもそれらを「1つのスピーカー」として扱わざるを得ないので(ツイーターとミッドウーファーとを個別に設定できないので)、ミッドウーファーからの距離を図ろう。ミッドウーファーの方が再生範囲が広いからだ。
そしてサブウーファーからの距離を測定する際には、音の通るルートの距離を正確に測りたい。
というのも低音は障害物を回り込んで進もうとする性質が強く、例えばステーションワゴンのような2ボックスカーでサブウーファーがトランクにて上向きに取り付けられているとき、サブウーファーから発せられる音はリアシートの背もたれを乗り越えて進んでくる。なのでそのルートの実距離を測るべきなのだ。
あとはそれぞれの数値を入力すれば、それまで自分がいるあたりから聴こえていた超低音が、ある程度前の方に移動する。
そうしたら入力した各数値を微調整して、超低音がもっとも前方から聴こえてくるポイントを探ろう。これにて「低音の前方定位」は完成するはずだ。
今回は以上だ。次回からはフロント2ウェイスピーカーに「クロスオーバー」を運用する際の設定方法を説明していく。お楽しみに。
[サウンド制御術・実践講座]クロスオーバーのタイムアライメントも活用すると、“低音の前方定位”の完成度が上がる!
2024年04月07日(日) 19時00分
関連ニュース
- [カーオーディオ・プロショップに行こう♪]プロなら、“アウター化”という高度な取り付けテクを繰り出せる! (05月01日 06時30分)
- [カーオーディオ・素朴な疑問]ツイーターはどこに付けると音が良い? (04月29日 19時00分)
- [サウンド制御術・実践講座]クロスオーバーではツイーターの“カットオフ周波数”を慎重に設定! (04月28日 19時00分)
- [カーオーディオ 逸品探究]実力ブランド「モレル」の最新ハイエンド機『イレイト カーボン』の魅力に迫る! (04月26日 06時30分)
- [カーオーディオ・プロショップに行こう♪]プロなら、使い勝手の良い「サブウーファーボックス」を作れる! (04月24日 14時00分)