クリンビューブランドのイチネンケミカルズがSippo Festa 2023 秋に出展。《写真撮影 石川徹》

愛犬家向けイベント「Sippo Festa 2023 秋」(しっぽフェスタ)が11月25日・26日に昭和記念公園(東京都立川市/昭島市)で開催された。このイベントには、クルマに関連した企業も出展。ケミカル製品を扱うイチネンケミカルズがブースを構えていた。

◆ノウハウ活かしペット用製品開発
同社は、クルマのガラス用油膜取りやクリーナー、曇り止め製品などを「クリンビュー」ブランドで展開している。ペットとは関係が無さそうだが、2年ほど前からこうしたイベントには年間2回程度参加しているという。きっかけは、「だ液汚れクリーナー」の開発だった。

自動車ユーザーを対象に調査を行ったところ、同乗する愛犬による窓ガラスの汚れが大きな「困りごと」の1つに挙げられたという。商品企画室の村上真一課長は、「クルマにペットを乗せて出かけるお客さまが増えているようです。車中から外を眺めるわんちゃんが、窓ガラスに付けたよだれや鼻水の汚れが落ちにくいという悩みが、意外に多く寄せられました」と話す。

そこで、これまで培ったケミカル製品に関するノウハウを基に、ペットが舐めても安全で、汚れが落ちやすいガラスクリーナーを開発した。ペット関連ビジネスにはまったく縁がなかったため、まず商品を知ってもらうためにこうしたイベントへの参加を始めたそうだ。

◆意見聞き、今後の商品企画の参考にも
現在は、動物のニオイに対応した除菌力の高い消臭剤と、抜け毛の掃除に便利な「毛とりスポンジ」を合わせた3製品をラインナップしている。しっぽフェスタでは、愛犬家から直接意見を聞くことで、今後の商品企画の参考にもしたいとのことだ。

気になるのは、人間と違い犬は色々な物を舐める習慣があることだ。イチネンケミカルズに聞くと、クリーナーと消臭剤は安全性試験を実施の上、ペット用品工業会(JPPMA)が定める「ペット用品統一表示ガイドライン」に適合しているという。

クルマユーザーには認知度の高いクリンビューだが、ペットグッズの存在はまだあまり知られていない。今後の課題は、ターゲットとなる愛犬家層におけるブランドの浸透だろう。インターネットによる通販ではリピーターも増えており、ニーズには手ごたえを感じているようだ。

「今日も、“使ってるよ”とお客さまに声をかけていただきました。今後も、愛犬家のクルマユーザーさんの“困りごと”を解決できるような商品を検討していきます」と村上氏は話す。

◆集客力の強さを感じるペットイベント
2011年から始まったしっぽフェスタは、2022年より春と秋の2回開催となった。今年の春は、ドッグフードやおやつ、リード、おもちゃなどを扱う店舗が「過去最大の90社」出展したという。今回は公式プログラムを見ると約160のブースが確認できた。回数と出展社数が増えているところから、集客力が増していると推測できる。

ペットグッズを扱うテントだけでなく、犬用の迷路、しつけ教室、写真撮影会、ドッグヨガなど、犬も飼い主も参加できるコンテンツが盛り込まれている。

そのほか、12台のキッチンカーや獣医師が常駐する救護所なども設けられていた。今年初の寒波の影響で肌寒い週末だったが、昭和記念公園の紅葉とも相まって多くの来場者を集めたイベントだった。

今や家族の一員となった動物たちがビジネス面でも様々な業界から注目されている。自動車産業にはどのような影響を与えていくのか、これからも追っていきたい。

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