ブリヂストン ニューノ《写真提供 ブリヂストン》

ブリヂストンがこの冬から市場に投入した、乗用車用タイヤの新ブランド『NEWNO(ニューノ)』。推奨車種はセダンからミニバン、コンパクト、そして軽まで幅広いジャンルを対象とする、低環境負荷と安全性の両立を図ったベーシックタイヤだ。

従来同様の車種をカバーできる製品ラインナップには『NEXTRY(ネクストリー)』という銘柄があった。2012年12月に登場し、従来品より転がり抵抗を20%も低減しつつ、ウェット性能/ドライ性能/乗り心地といった基本性能を確保し、耐偏摩耗性にも配慮したタイヤだ。ニューノは、実質的にこのネクストリーの後継製品にあたる。

◆低燃費・ウェットグリップ・豊富なサイズ、ブリヂストンの考えるベーシックが心強い
13インチから18インチの全65サイズを取り揃えるニューノは、その全サイズが日本自動車タイヤ協会(JATMA)の等級制度で、転がり抵抗係数がA等級。加えてウェットグリップ性能がb等級に相当し、低燃費タイヤに認定されている。

さらに耐摩耗と偏摩耗抑制によるロングライフ化も図られた。これはショルダーブロックの高剛性化や接地圧の均等化、転がり抵抗やエネルギーロスを抑えるシリカ高配合ゴムの採用によるもので、ネクストリーとの比較では摩耗寿命が14%、耐偏摩耗性能は6%それぞれ向上している。

また、低抵抗・高寿命でありながら、ウェットブレーキの制動距離は8%短縮。これにはリブ中央の接地圧を高めるマルチラウンド・ブロックに加え、こちらもシリカ高配合ゴムがその性能に寄与している。シリカを添加したゴムの低温でもしなやかさを保つ特性と、シリカ自体が持つ水となじみやすい性質が、濡れた路面への食いつきを高める要因だ。

これらの設計・開発に力を発揮するのは、プレミアムタイヤにも用いられるブリヂストンのテクノロジーだ。形状決定には、ULTIMAT EYE(アルティメットアイ)と呼ばれる技術を活用。コンピューターでのシミュレーションと、プロトタイプで実走行状態を再現した計測を繰り返し、高精度なタイヤ解析を行う。また、材質の組成には、ナノプロ・テックと銘打った技術を投入。ゴムの構造を100万分の1ミリ単位でコントロールし、要求した性能を実現する。

その他にも、空気圧低下を抑える高気密インナーライナー、パタンノイズを抑えるブロック配列、操縦安定性を高めるトレッド剛性の最適化やビードワイヤ強化、高速走行時の安定性や耐久性を向上するジョイントレスのキャップとレイヤーなど、基本性能を高める要素技術を多数採用。省資源と安全性をこれまで以上に追求したニューノの名称には、キャッチフレーズにもなっている「これが、ブリヂストンのニューノーマル」という作り手の自信が込められている。

◆ベーシックタイヤながらも上位モデル譲りの技術を反映、スタンダードな性能はいざというときに安心
ブリヂストンのサマータイヤ銘柄といえば、スポーツブランドのPOTENZA(ポテンザ)や、プレミアムブランドでフラッグシップのREGNO(レグノ)や高級SUV向けのALENZA(アレンザ)といった、高価格帯のものが話題に上がりがちだが、マーケット全体を見れば低価格帯タイヤのほうが需要は大きい。この新ブランドであるニューノの投入により、ブリヂストンはより幅広い客層へ「より安心・安全なモビリティライフを提供」し、同時に「持続可能なモビリティ社会の実現に貢献」することを目指すという。

クルマにこだわらないカジュアルユーザーはもちろん、クルマ本体には気を使うユーザーでも、タイヤ選びの時には価格の安さだけで選んで装着しているケースは少なくない。彼らのニーズに合致する、低価格を売りにしたものも数多く販売されている。しかし燃費や寿命で劣っても、価格で経済性の差は埋められるかもしれない。それらが日常的なリスクにも備えているかは未知数だ。

雨天時の走行はもちろん、急ブレーキが必要なシーンでさえ日々運転していれば当たり前に遭遇しうる。そうした悪条件をトラブルなく切り抜けるためには、それを想定して開発された基本性能の高いタイヤを選びたい。タイヤは命綱だ。その選択が、いざというときこそお守りになりうるのだから。

ブリヂストン ニューノ《写真提供 ブリヂストン》 ブリヂストン ニューノ《写真提供 ブリヂストン》 ブリヂストン ニューノ《写真提供 ブリヂストン》 ブリヂストン ニューノ《写真提供 ブリヂストン》