田園都市線の2020系。《写真提供 写真AC》

東急電鉄(東急)は3月23日、東京地下鉄(東京メトロ)半蔵門線と相互直通運転を行なっている田園都市線の信号保安システムを、東京メトロが導入を計画している無線式列車制御(Communications-Based Train Control=CBTC)システムと同一のものに更新すると発表した。

CBTCシステムは、地上装置が先行列車の位置などから後続列車が走行可能な位置を割り出し、それを後続列車へ無線を使って伝達し、後続列車は自車で走行可能な速度を割り出すという新たな信号保安システムで、これまでの閉塞方式に依存しないため、列車間隔の短縮や高い遅延回復効果、運行安定性の向上が期待されており、東京メトロでは丸ノ内線へ2024年度中、日比谷線へ2026年度中、半蔵門線へ2028年度中に導入する予定だ。

東急でも「踏切制御を高度化し、列車速度に応じて踏切の警報開始地点を可変することにより、特に列車が遅延し低速度での運転時に踏切遮断時間の改善も見込まれる」として、2031年度を目途に大井町線に導入する予定だが、大井町線と直通している田園都市線では東京メトロ半蔵門線と相互直通運転を行なっているため、東京メトロと同じ車上装置で相互運転することにより導入コストの削減を図れるとして、半蔵門線での導入に合わせて2028年度を目途に東京メトロと同一のCBTCシステムが導入されることになった。

両社は今後、東横線〜副都心線、日比谷線など、他の相互直通路線でも信号保安システムの統一を目指し、さらなる安全性や安定性の向上へ向けて連携するとしている。

CBTCシステムの概要。《資料提供 東京地下鉄》 自動列車制御装置(Automatic Train Stop=ATC)を使用する従来の閉塞は区間を固定しているが、CBTCシステムはそのことに囚われない移動式となる。《資料提供 東京地下鉄》 移動式となるCBTCシステムの閉塞は従来の固定式とは異なり、後続列車は先行列車が進んだ距離分を追うことができ、高い遅延回復効果を期待できる。《資料提供 東京地下鉄》 CBTCシステムでは、事故などが発生した際も単線並列運転が可能となるため、不通区間が発生しない。《資料提供 東京地下鉄》