ヤマト運輸貨物専用機 エアバスA321ceo P2F型機《画像提供 日本航空》

いよいよクロネコが空を飛ぶ。しかもエアバスA321ceo P2F型機3機で。この“ヤマト運輸貨物専用機”の登場で、宅急便の荷物がさらに確実に早く届くかも……。ヤマトホールディングス(ヤマト運輸)と日本航空(JAL)は、首都圏と北海道・九州・沖縄を結ぶ貨物専用機(フレイター)を2024年4月から運航する。

クロネコが描かれた専用機は、エアバスA321ceo P2F型機 3機を使用。この3機は、旅客型機(中古機)を貨物専用機に改修した機材で、「リース会社からヤマト運輸がリースするもの」という。

就航区間は、羽田・成田空港〜新千歳・北九州・那覇空港。運航は、日本航空グループのジェットスター・ジャパンが担当する。荷物などの最大搭載重量は1機あたり28トンで、10トン車5〜6台分を空で運ぶかたち。

「このフレイター導入で、輸送手段の拡大や輸送スピードが向上し、輸送ネットワーク全体の効率化を実現。今後も環境負荷低減にむけて継続して輸送効率化に取り組む」(日本航空)

◆自動車運転業務の上限規制などに先手
現在、ヤマトグループなどの物流事業者は、モーダルシフトなど環境に配慮した取り組みのほか、2024年4月1日から自動車運転業務の年間残業時間が上限960時間になることによる長距離トラックの輸送力の確保、代替手段の検討など、対処すべき課題を多く抱えていた。また近年、全国各地で発生する大雨や大雪、地震などによる物流網寸断リスクへの対応強化が求められていた。

またJALグループでは、長期的な人口減少による国内路線の多頻度小型化の影響に加え、昨今の新型コロナウイルス影響下の環境変化による旅客機床下貨物スペースの減少などの課題を抱え、新たな供給創出が求められていた。

今回、ヤマトグループが貨物専用機をリースで導入し、JALグループのジェットスター・ジャパンが運航を担い、これまで長距離輸送を担ってきたトラック・鉄道・フェリー・旅客機床下貨物スペースに加え、新たな輸送手段としてフレイターを活用することで、安定的な輸送力の確保やサービス品質の維持・向上を図るという。

ヤマトグループとJALグループは、今回の貨物専用機(フレイター)運航を機に、距離に応じた最適な幹線輸送のポートフォリオを構築し、今後の新たな需要や労働力不足への対応や、自然災害など緊急時の輸送チャンネルとしての選択肢になることをめざす。

さらに、将来的に貨物専用機(フレイター)の運航ネットワーク拡大や、スピード輸送の実現にとどまらず、両社がこれまで培ってきた経営資源の相互活用などの提携をすすめ、地方発のDtoB/C(Direct to business/consumer)市場の形成や、国内・海外への商流構築など、新たなビジネスチャンスを創出していくという。