スズキ・スペーシアベース《写真提供 スズキ》

「記録的な円安が一番大きかった」(鈴木俊宏社長)という円安効果で売上高、最終利益ともに過去最高を更新したスズキが、週明け(5月15日)に発表を終えたことで、大手自動車メーカー7社の2023年3月期決算が出そろった。

◆5社がコロナ禍前を上回る
きょうの各紙も経済面に大きく取り上げているが、半導体不足の緩和に伴う新車販売の回復や円安の影響で、売上高は前期比18.4%増の37兆1542億円を売り上げたトヨタ自動車をはじめ、7社すべてが2桁の増加。コロナ禍前の19年3月期との比較でも、日産自動車と三菱自動車以外の5社が上回ったという。

また、最終的なもうけを示す純利益は、トヨタ自動車(前期比14.0%減)とホンダ(同1.7%減)の2社を除いて、スバル(同2.9倍)や三菱自動車(同2.3倍)、マツダ(同75.1%)など5社が増益となった。

◆新車生産が復調
24年3月期の見通しでは、半導体不足が一段落する見込みで、新車生産が本格再開することから、全社が増収を予想。本業のもうけを示す営業利益は、日本企業として初の3兆円を予想するトヨタや1兆円の大台をめざすホンダと、日産、スバル、マツダの5社が前期より増え、全社合計で12%増の5兆4800億円を見込んでいる。

ただ、主戦場となる米国などでの急速な利上げなど、世界的な金融引き締めで景気後退が強まる中で、「電気自動車が急速に伸びた中国市場で販売台数が減ったところが出るなど、先行きには不透明感もある」(朝日)ほか、「追い風だった円安頼みではなく本業を伸ばし、成長軌道に復帰できるか正念場を迎えている」(日経)などとも伝えている。懸念材料も山積する中でトヨタ、スバル、マツダで社長交代となり、新体制の力量が問われている。

2023年5月16日付

●自動車大手7社増収、半導体不足緩和、円安で(読売・8面)

●テレワーク5割下回る、都内企業4月46.7%(読売・29面)

●日産グプタCOO代表執行役退任へ、ルノー出身(朝日・7面)

●ダイハツ不正第三者委調査(産経・11面)

●政府税調、答申討議を本格化、退職金・EV課税焦点(産経・11面)

●鉄道17社、営業益29%増、今期旅客回復もコスト高重荷(日経・17面)

●電子部品、EVが稼ぎ頭に、大手8社、今期2年ぶり増益、スマホ落ち込み補う(日経・17面)

●トヨタ株主数98万人、1年で2割増、分割で買いやすく(日経・19面)

●ヤマハ発純利益,1〜3月37%増、船外機や二輪車好調(日経・19面)

●ブリヂストン、39%増、1〜3月最終、北米で値上げ浸透(日経・21面)

●中古車競売価格5%安、4月需要重要減退で下げ幅拡大(日経・25面)

●水素トラック、いざ出発、都、190台導入めざす、トヨタなど実証を主導(日経・39面)

●スバル、北米EV難路、歴史的円安も株価軟調、米支援法、国内生産に逆風(日経・16面)

CJPTが東京に導入する水素燃料トラック《写真提供 トヨタ自動車》