デトマソ P72《photo by De Tomaso》

デトマソ・アウトモビリは1月12日、新型スーパーカーのデトマソ『P72』の生産に向けて、ドイツ・ニュルブルクリンク近くに新工場を建設すると発表した。2023年から、P72の納車を開始する計画だ。

◆トヨタのF1向け風洞施設で空力性能を検証
デトマソ・アウトモビリは今回、カプリコーングループと戦略的パートナーシップを締結したことも発表した。ドイツ、フランス、英国、イタリアに拠点を持つカプリコーングループは、モータースポーツの世界で実績がある。同社の代表はかつて、ルマン24時間耐久レースで活躍したポルシェ『919』の開発責任者のひとりだった。

デトマソ・アウトモビリはカプリコーングループと戦略的パートナーシップを締結し、ドイツ・ニュルブルクリンク近くに新工場を建設する。この新工場は2022年夏に完成する予定だ。P72は、ニュルブルクリンクの新工場において、手作業で組み立てられ、2023年から顧客への引き渡しを開始する計画だ。

デトマソP72には、新開発のシャシーとサスペンションを搭載する。LMP1カーのポルシェ919やさまざまなF1プログラムのノウハウを持つカプリコーングループとデトマソ・アウトモビリのエンジニアによって、共同開発されている。P72のエアロダイナミクス性能については、ドイツ・ケルンのトヨタのF1向け風洞施設で、検証が行われたという。

◆1971年に発表した「パンテーラ」で知られるデトマソ
デトマソは1959年、イタリアに設立された名門ブランド。1971年に発表したスーパーカー『パンテーラ』が有名だ。しかし、2003年に創始者のアレハンドロ・デトマソ氏が死去したのを受けて、会社としてのデトマソは2004年に解散している。

デトマソ・パンテーラは、イタリアンスーパーカーの名車の1台。イタリアのデトマソ社と米国のフォードモーターが共同で開発し、1971〜1994年に生産された。エンジンは、フォードモーター製の5.8リットルV型8気筒ガソリンを搭載していた。

新生デトマソ・アウトモビリは2019年7月、英国で開催されたグッドウッドフェスティバルオブスピードにおいて、デトマソP72を初公開した。デトマソ創業60周年の節目に合わせてのブランド復活となった。デトマソP72は、2シーターのミッドシップスーパーカーとなる。

◆カーボン製モノコックをアポロの新型ハイパーカーと共用
デトマソ・アウトモビリは、香港を拠点とするアイディアル・ベンチャーズ(IdealVenture)がオーナーを務める。AMG(現在のメルセデスAMG)の創設者のハンス・ヴェルナー・アウフレヒト氏と、シボレー『コルベット スティングレイ』やシェルビー『デイトナ コブラ クーペ』のデザイナーのピーター・ブロック氏も、デトマソP72のプロジェクトに参画しており、5年間の期間をかけて開発が行われた。

デトマソP72は、1960年代のデトマソ『P70』プロトタイプレーシングカーに敬意を表してデザインされた。P70は1964年、キャロル・シェルビーの依頼を受けて、デトマソが製作したプロトタイプレーシングカーだ。

デトマソP72は、ドイツのスポーツカーメーカー、アポロオートモビルの新型ハイパーカー『インテンサ・エモツィオーネ』(IE)と、カーボンファイバー製モノコックシャシーを共用する。インテンサ・エモツィオーネは、アポロ初のハイパーカーだ。ミッドシップに搭載されるのは、自然吸気の6.3リットルV型12気筒ガソリンエンジンで、最大出力780hp/8500rpm、最大トルク77.5kgm/6000rpmを引き出す。車両重量は1250kgと軽量で、トランスミッションはパドルシフト付きの6速シーケンシャル。インテンサ・エモツィオーネは、0〜100km/h加速2.7秒、最高速335km/hの性能を発揮する。

◆5.0リットルV8スーパーチャージャーは700ps以上
P72のパワートレインは、5.0リットルV型8気筒ガソリンエンジンを、スーパーチャージャーで過給したユニットだ。このエンジンは、米国のエンジニアリング会社、ラッシュ(Roush)とデトマソ・アウトモビリが、技術協力して開発を行った。

P72のミッドシップに搭載される5.0リットルV型8気筒ガソリンスーパーチャージャーエンジンは、最大出力700ps以上、最大トルク84.1kgm以上を目標に掲げる。最大エンジン回転数は、7500rpmを上回る見通しだ。デトマソ・アウトモビリによると、自然吸気エンジンを連想させるリニアなパワーカーブやサウンドを備えているという。

トランスミッションは6速マニュアルのみとなる。パワートレインは、デトマソブランドの精神とDNAを保持しているという。デトマソ・アウトモビリは今後、米国や欧州市場での排ガス規制を満たすために、各種テスト、や検証を含めたパワートレインプログラムを推進していく。なお、P72はFIA(国際自動車連盟)の「LMP2」レギュレーションに適合するよう設計されており、72台のみを生産する計画だ。

デトマソ P72《photo by De Tomaso》 デトマソ P72《photo by De Tomaso》 デトマソ P72《photo by De Tomaso》 デトマソ P72《photo by De Tomaso》 デトマソ P72《photo by De Tomaso》 デトマソ P72《photo by De Tomaso》 デトマソ P72《photo by De Tomaso》 デトマソ P72《photo by De Tomaso》 デトマソ P72《photo by De Tomaso》 デトマソ P72《photo by De Tomaso》 デトマソ P72《photo by De Tomaso》 デトマソ P72《photo by De Tomaso》 デトマソ P72《photo by De Tomaso》 デトマソ P72 のプロトタイプ《photo by De Tomaso》 デトマソ P72 のプロトタイプ《photo by De Tomaso》 デトマソ P72 のプロトタイプ《photo by De Tomaso》 デトマソ P72 のプロトタイプ《photo by De Tomaso》 デトマソ P72 のプロトタイプ《photo by De Tomaso》 デトマソ P72 のプロトタイプ《photo by De Tomaso》 デトマソ P72 のプロトタイプ《photo by De Tomaso》