「こいつは春から縁起が良いわい」---。この歌舞伎でのセリフではないが、年が明けてからようやく自動車業界にも明るい話題が届くようになってきた。
元日に群馬県で行われた実業団対抗の「ニューイヤー駅伝」では、Honda(ホンダ)が創部51年目で初優勝。地元が本拠地のSUBARU(スバル)も2年ぶりの出場で過去最高の2位でフィニッシュした。また、半導体不足の影響で減産が強いられるなか、トヨタ自動車が2021年の米国での新車販売台数で米ゼネラルモーターズ(GM)を上回り、海外メーカーとして初めて首位となった。
1月5日付けの日経が夕刊の1面トップで「トヨタ米販売初の首位、90年君臨のGM抜く」などと報じたほか、きょうの各紙も1面や経済面で「トヨタ半導体調達で差」(朝日)などのタイトルで大きく取り上げている。興味深いのは報道陣のオンライン取材に応じたという豊田章男社長らのコメント。読売などによると、豊田社長は「米国で作り、販売した車を米国のお客様に買ってもらっている」と強調し、「その町で一番必要とされる自動車会社を目指してきた結果だ」と述べたそうだ。さらに、北米トヨタの幹部も「顧客に感謝している。販売トップであることは目標でも優先事項でもない」と語ったという。
常々、トヨタは販売台数にはこだわらない方針を示しており、控えめのコメントは想定の範囲だが、むしろ大騒ぎしているのはメディア側とでも言いたげとも読み取れる。その点は各紙も忖度しているようで、例えば、日経は「米首位真価問われるEV戦略」として、「米国勢は電気自動車(EV)シフトを強め、出荷数を抑えた面がある。ソニーグループなど異業種のEV参入も増える見通しで、米国市場で強さを発揮し続けられるかは不透明だ」と伝えている。
読売や朝日、毎日なども経済面のトップ記事は「ソニーEV参入へ新会社」を掲載。このうち朝日の書き出しはやや大げさだが「日本の経済を支える自動車産業で歴史的な動きがあった」とも。新しい年を迎えてソニーのEV市場の本格参入表明は「EV戦国時代突入」(毎日)を象徴する格好の話題づくりのようである。
2022年1月6日付
●沖縄まん延防止適用、米軍基地周辺、山口・広島も、あすにも決定(読売・1面)
●ソニーEV参入へ、今春にも新会社、リモート運転実用化目指す、提携戦略に注目(読売・9面)
●トヨタ初の米販売首位、半導体不足の影響抑制、昨年233万台(読売・9面)
●国内新車販売3.3%減、昨年 東日本対震災以来低水準(読売・9面)
●自動停止システム基準設定へ、国交省が方針(朝日・27面)
●テスラ中国・新疆に出店(毎日・7面)
●仮想空間競う各社、家電IT見本市「CES」開幕(毎日・7面)
●経済3団体2年ぶり新年祝賀会、首相「賃上げ、攻めの姿勢で」(東京・7面)
●年末年始の国内線旅客、航空2社コロナ前8割弱、感染急増で先行き不安も(日経・15面)
●選手村の自動運転バス事故、トヨタ社員、書類送検へ(日経・35面)
2022年幕開け…ホンダが駅伝初優勝、トヨタが米新車販売初首位、ソニーEV参入へ[新聞ウォッチ]
2022年01月06日(木) 08時52分
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