定額制回遊型住み替えサービス「TsugiTsugi」。ホテルにおいてテレワークで過ごすにも最適だ《写真撮影 会田肇》

東急は、2021年4月に先行体験として実施した定額制回遊型済み前サービス「TsugiTsugi(ツギツギ)」の第2弾の募集を開始。11月16日、サービス内容を大幅にバージョンアップした、その概要説明会を羽田エクセルホテル東急にて開催した。

◆要望に応え最長180泊の長期プランを用意

ツギツギは全国にホテルを展開する東急が提供するサブスク型の利用プランとして21年4月に誕生した。都市型とリゾート型のホテルを次々と自由に泊まり、「旅するような暮らし」を目指す。グループ内にはビジネス系ホテルからリゾート系ホテルを揃え、その範囲は北は北海道から南は沖縄まで全国に拡がる。まさに数多くのホテルを抱える東急グループだからこそ実現できた企画と言ってもいいだろう。

それだけに利用者の満足度も高いようだ。4月の先行体験では、定員100名を募集したところ9倍を超える応募があり、利用者の満足度も88%に上る高い評価を獲得したという。ただ、予約サイトの操作性や、予約できるホテルが都市部に集中したこと、さらには移動に伴う費用の負担感など、改善すべき点も多々見つかった。

これについて東急ホスピタリティ事業部アコモデーション戦略グループの川元一峰課長補佐は、「今回提供する第2弾は、先行体験していただいたお客様の実体験を踏まえてバージョンアップしたもの。多くの企業に参画していただいたが、根底にあるのはライフスタイルの多様化で、企業もそれに寄り添う必要性を感じていると思う」と述べた。

中でも先行体験で要望が多かったのが長期利用プランだったという。そこで第2弾では180泊と90泊の長期宿泊プラン、気軽に利用できる30泊プランを用意。それぞれに「スタンダード」とより+αの楽しみ方ができる「Enjoy+(エンジョイプラス)」をラインナップに揃えた。先行体験で多くの人に好評だった、同伴者1名まで無料になるサービスは継続している。また、対象ホテルは従来の39拠点から78拠点へと倍増することとなった。

その中には都市型ホテルであるエクセルホテル東急や東急REIホテルに加え、スノーリゾート地にある「ホテルタングラム」や長期滞在向けホテル「東急ステイ新宿イーストサイド」を要したほか、今回はテーマパークホテルの「ザ パーク フロント ホテル アット ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」を加えたことも見逃せない。

◆利便性アップを目指して様々な企業と提携

移動に対する負担感については、ANAや個人間シェアリング「Anyca」と提携することで解決を図っている。全プランでANA航空券や旅行商品にANA SKYコインを特典として提供し、それは10コイン=10円として利用できる。また、Anycaでは利用料が20%OFFとなるクーポンを付与する。見逃せないのはEnjoy+を申し込むと、ANA SKYコインの増額に加え、全国の東急ホテルズで使えるギフトカード2万円分を30泊ごとに受け取ることができること。これらを活用することで移動費用や滞在費を抑えることにつなげられる。

長期宿泊となると、不要と思っていたものが必要になる想定外のことも発生しがちだ。そこで荷物の取り回しについては、宅配型トランクルームを展開する「サマリーポケット」と提携。さらに東急ホテルズでは数日間の荷物預かりを実施することにした。また、チェックインまでのすきま時間に仕事をする場所が欲しいという要望に対しては、「カラオケ館」と提携し、いつでも20%オフで使えるクーポンを付与することにした。

第2弾の募集は専用ウェブサイトから11月22日の12時より開始。400名限定で受け付ける。180泊プランは「スタンダード」が30泊あたり22万円(特典:1万コイン)、「Enjoy+」が26万円(同:5万コイン)。90泊プランは30泊あたり「スタンダード」が22万5000円(同:7500コイン」、「Enjoy+」が25万5000円(同:4万7500コイン)、30泊プランは「スタンダード」が23万円(同:5000コイン)、「Enjoy+」が27万円(同:4万5000コイン)。なお、「Enjoy+」には東急ホテルズギフトカード2万円分がプラスされる。

◆アイデアは5年前に社内起業家育成制度で生まれた

ツギツギのプランが登場したきっかけは、東急の社内起業家育成制度から生まれた。アイデアを出した川元氏によると「2016年に実施された税制改正で通勤手当非課税の上限が15万円に拡大し、その枠内でどこまで行けるか調べたら長野県上田市だった。開通したばかりの北陸新幹線ではWi-Fiや電源が完備されており、これなら新幹線で十分仕事ができるじゃないか」と考えたそうだ。ただ、「当時はテレワークという言葉も普及しておらず、事業としては保留のままとなってしまった」という。そして、コロナ禍となってそのアイデアは見事復活を果たし、ツギツギとして実現に至ったというわけだ。

説明会には先行体験した30歳代既婚の男性と、独身女性の二人も登場した。インタビューに答えた男性は「プランは妻と2人で利用した。お互い旅行好きのため、ワーケーションのような働き方に憧れはあったが、費用面で踏ん切りがつかなかった。今回同伴者1名が無料だったことで、チャレンジしてみようと踏み切った。1週間に渡って利用した中では、平日は客先に行くことが多いため都心のホテルを利用し、休日は足を伸ばして富士山三島東急ホテルを利用している」と述べた。

利用して感じことは「仕事しながらすぐ隣でリゾートできるので、今までとは違った刺激のある日々を送れている」とした。不満に感じたことは、「移動ごとに荷物の持ち運びが大変だった。長期利用になれば荷物を預けるなどして使い勝手はかなり解消されるのではないかと思っている」と述べた。

東急ではこのツギツギを次世代のライフスタイルとして位置付け、そのために提携企業や利用者の声を踏まえて新たなホテル事業として発展させていく考えだ。

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