ヤマハ YZF-R25 ABS(シアン)《写真提供 ヤマハ発動機》

ヤマハ発動機は11月8日、2021年1〜9月期(第3四半期累計)の連結決算を発表。コロナ禍前を上回る増収増益で、最終利益は過去最高を記録した。

半導体をはじめとした部品供給不足を受けた生産減少などの影響を受けたものの、販売台数や販売単価の増加により、売上高は前年同期比27.7%増(2019年同期比7.5%増)の1兆3626億円となった。営業利益は増収に加え、リモートなどのデジタル活用による固定費や製造経費の抑制、販売金融引当費用の減少などの結果、物流費や原材料費高騰の影響を吸収。同174.4%増(同54.6%増)の1546億円と大幅な増益となった。

経常利益は同168.9%増(同1.5%減)の1606億円。純利益はヤマハ株式会社の株式売却益128億円を特別利益に計上したこともあり、同242.0%増(同81.2%増)の1370億円と大幅増。第3四半期連結累計期間で過去最高となった。

セグメント別の業績を見ると、ランドモビリティは売上高が同29.3%増の8820億円、営業利益は同6.7倍増の604億円となった。先進国二輪車では、コロナ禍におけるアウトドア・ファミリーレジャーの活況により、オフロード系モデルを中心に需要が伸長したため販売台数も増加し、増収・増益。新興国二輪車では、東南アジアでの新型コロナウイルス感染症の再拡大影響による工場・販売店稼働率の低下があったが、インドネシア市場などでは活動制限も緩和され回復傾向となったほか、プレミアムモデルの販売増加によるモデルミックス改善が進み、増収・増益となった。

RV(四輪バギー、レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル、スノーモビル)では、旺盛なレジャー需要が継続。部品供給不足などによる生産遅延の影響はあるものの、販売台数が増加した結果、増収・増益となった。電動アシスト自転車では、通園、通学、通勤における自転車の有用性が見直されていることもあり、日本向けの完成車や欧州向けE-kitの販売好調が続き、増収・増益となった。

マリンは売上高が同22.3%増の3026億円、営業利益は同58.7%増の645億円となった。船外機では、先進国での大型モデル需要が堅調に推移し、新興国での需要も回復。生産台数の増加により供給量が改善し、販売台数が増加した。ウォータービークルでも、米国での寒波影響による原材料調達遅れへの対応が進み販売台数が増加。その結果、マリン事業全体では、増収・増益となった。

通期業績見通しについては、売上高は半導体などの部品不足による販売機会損失と東南アジアなどでの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の再拡大影響を踏まえ、売上高は1兆8000億円(前回予想比−500億円)に下方修正。利益項目は減収影響はあるものの、より一層の経費削減実行により前回予想を上回る見通し。営業利益1720億円(同+120億円)、経常利益1780億円(同+130億円)、純利益1450億円(同+330億円)とした。

ヤマハ PAS ブレイス(2021年)《写真提供 ヤマハ発動機》 ヤマハ『SUPERJET』(参考画像)《写真撮影 柳田由人》