日産ローグ(北米仕様)《photo by Nissan》

日産自動車は7月28日、2022年3月期の第1四半期(4〜6月期)連結決算をオンライン会見で発表した。グローバルでの大幅な販売回復により、営業利益は757億円(前年同期は1539億円の赤字)と黒字転換した。通期予想も上方修正した。

第1四半期のグローバル販売は、63%増の104万8000台となった。海外は市場の回復や新モデル効果などで北米が70%増の38万台、中国も71%増の35万台と主力2地域で大幅に増加した。日本は半導体不足の影響もあって7%増の9万台だった。

この結果、営業損益段階では販売増による増益要因が1932億円に達し、黒字転換を支えた。第1四半期の売上高は2兆0082億円(71%増)となり、売上高営業利益率は3.8%を確保した。純利益は独ダイムラー株の売却益もあり、1145億円(前年同期は2856億円の赤字)となった。

固定費削減や、北米などで取り組んでいる販売の質向上の成果もあり、アシュワニ・グプタCOOは現時点での損益分岐点台数は440万台(18年度500万台)までに引き下げられたと指摘した。

通期のグローバル販売計画は、半導体不足などのリスクから従来の440万台(前期比9%増)を据え置いた。しかし第1四半期の回復を反映し、通期業績予想は営業利益が従来のイーブンから1500億円に、純利益は600億円の赤字から600億円の黒字へと上方修正した。営業損益段階では、販売増などの増益要因を6550億円見込む一方、原材料費の高騰が大半のビジネスリスクによる減益要因を従来比で350億円積み増し、1850億円とした。

会見した内田誠社長は、「大きなビジネスリスクを抱えているが(23年度までの中期計画である)『日産NEXT』で掲げる今年度の目標を必ず達成し、最終ゴールである23年度の売上高営業利益率5%の達成に向け、全社一丸で更に改革を進める」と強調した。また、自らの社長就任から1年8か月が経過した現状について「日産は確実にその輝きを取り戻しつつあり、社内の雰囲気やお客様からの声にも変化を感じている」と、業績建て直しへの手ごたえを表明した。

日産自動車の内田誠社長(参考画像)《写真提供 日産自動車》