ホンダ 三部敏宏社長《写真撮影 池原照雄》

ホンダの三部敏宏社長は7月16日、都内で報道関係者とのラウンドテーブル取材会を開き、EU(欧州連合)の新たなエンジン車規制について、「国際的な動向に合わせないと商売にならない」と、対応していく方針を示した。

EUの行政機関である欧州委員会は、2050年までのカーボンニュートラル実現に向け、7月14日に新しい環境政策案を発表した。このなかで、自動車の新車では排ガス中のCO2(二酸化炭素)を35年にゼロとする規制案を打ち出した。実施されれば、エンジンによるガソリン車やディーゼル車のみならず、日本メーカーが先行してきたハイブリッド車(HEV)の販売も実質禁止となる。

三部社長は、こうした動きに対し「基本的には計画の妥当性みたいなところを検証しながら、対応していく。国際的な動向に合わせないと商売にならないので合わせていく」と述べ、EV(電気自動車)などゼロエミッション車の投入強化で対処する考えを示した。

三部社長は4月の就任会見で、50年のカーボンニュートラル実現へ向け、40年に世界販売の全てをEVとFCEV(燃料電池車)とする電動化方針を表明している。40年に至るプロセスでは北米や欧州など海外の先進諸国市場で、EVとFCEVの販売比率を30年に40%、35年に80%とする計画だ。

今回、EUが打ち出した環境対策が実施されると、新車販売の全量をEVとFCEVにする時期を35年に前倒しする必要がある。三部社長はEUの方針について「EUのみならず最近ではカナダも35年で内燃機関は禁止ですという。政治的な話であり、日を追うごとに早まっているが、そのあたりを十分見て国際的な動向に合わせていく」と語った。

ホンダe《写真撮影 中野英幸》 ホンダe《写真撮影 中野英幸》 スマート水素ステーションとFCXクラリティ