トヨタ ヤリスクロス(左)とヤリス《写真撮影 中野英幸》

トヨタ自動車は5月12日、2021年3月期の連結決算をオンライン会見で発表した。期初にはコロナ禍の影響があったものの通期では販売を回復させ、純利益は前期比10.3%増の2兆2452億円と増益を確保した。

今期(2021年3月期)は営業利益、純利益ともに増益を予想している。前期の連結グローバル販売は15%減の764万6000台となった。主力の北米は15%減の231万台と落ち込んだが、『ヤリス』シリーズなどの新モデルが好調な日本は5%減の213万台とマイナスを小幅にとどめた。ハイブリッド車が支持を得ている欧州も7%減の96万台と比較的健闘した。

また、中国を含む総小売台数は5%減の992万台だった。前期の為替レートは1ドル106円で、前々期から3円の円高となり、為替変動による営業損益段階での減益要因は2550億円になった。さらに販売減や構成差による減益要因も2100億円に膨らんだ。一方で、原価改善による増益影響は1500億円を確保した。

この結果、営業利益は8.4%減の2兆1977億円と小幅な減益にとどめた。為替変動とスワップ等の影響を除けば営業利益は100億円の増益となっている。売上高は8.9%減の27兆2145億円だった。。

今期の連結グローバル販売は全地域で増加させ、14%増の870万台を計画している。また、中国を含む総小売台数は6%増の1055万台と、2期ぶりの1000万台超えを見込んだ。為替レートは1ドル105円を前提とし、通貨全体では150億円の増益効果を見ている。ただ、原材料費の高騰が激しく、それを踏まえた原価改善は1350億円のマイナスを想定した。

オンラインで会見したCFO(最高財務責任者)の近健太執行役員は、手堅い利益確保となった前期業績について「前半の販売はコロナ禍で大きく減少したが、後半は多くの地域で増加させることができた。(2008年の)リーマン・ショック後から取り組んできた“もっといいクルマづくり”と総原価改善により損益分岐点を下げることができた」と、評価した。損益分岐台数(年間)はリーマン以前から200万台下げ、前期も前々期比では「数十万台規模下がった」という。

今期の課題に関しては「前期からの働き方変革をいかに定着させるかの正念場となる。収益体質を更に改善させるとともに、未来への投資を積極的に行い、モビリティーカンパニーに向けた取り組みを加速させたい」と指摘した。

トヨタ・ヴェンザ( ハリアー に相当)新型(北米仕様)《photo by Toyota》 トヨタ・クラウン・クルーガー《photo by Toyota》 決算を発表する近健太トヨタ執行役員(参考画像)《撮影 池原照雄》