日産ローグ(北米向け)《photo by Nissan》

日産自動車は5月11日、2021年3月期の連結決算をオンライン会見で発表した。コロナ禍の影響や北米での販売再建への取り組みなどにより、営業損益は1507億円の損失と、2期連続の赤字になった。

今期(22年3月期)の営業利益は、半導体の供給不足による生産影響などにより、イーブン(0円)を予想している。前期のグローバル販売は、18%減の405万2000台だった。海外は中国(20年1〜12月実績分)が6%減の145万7000台と比較的堅調に推移した。しかし、販売正常化を進めている北米は、25%減の121万3000台と大幅に落ち込んだ。日本は後半から新モデル効果が出始めたものの、11%減の47万8000台となった。

営業損益段階では、台数および構成変動による減益要因が3664億円に及んだ。また、為替は1ドル106円で前々期から約3円の円高になり、通貨全体では640億円の減益に作用した。一方で販売費では米国のインセンティブ(販売奨励金)を525億円削減するなどにより、1942億円の増益要因を確保した。

これらの結果、営業損益は1507億円の赤字、純損益も4487億円の欠損と、いずれも2期連続の赤字になった。売上高は20.4%減の7兆8626億円だった。

今期のグローバル販売は9%増の440万台を計画した。新モデルの投入効果などで反転させるものの、半導体の供給不足の影響も25万台規模織り込んだという。440万台は現時点で営業利益の損益分岐点としており、通期の営業利益予想はイーブンとした。純損益は600億円の欠損と3期連続の赤字を予想している。売上高は16%増の9兆1000億円の計画。

オンライン会見で内田誠社長は、今期ついて「半導体の供給と原材料費の高騰というリスクがあり、半導体は上期に50万台レベルで生産に影響するものの、下期にその半分をリカバリーする計画にしている」と指摘した。この結果、23年度までの4か年にわたる「事業構造改革計画」で、今期(21年度)の売上高営業利益率(中国事業分を比例配分で反映)2%としていた目標は、1%程度の実現にとどまる見通し。

同計画では最終の23年度に同利益率を5%とする目標を掲げている。これに関して内田社長は「財務規律の徹底と、販売の質の向上は着実にできて来ている。足元では半導体の大きな影響や原材料費の高騰があるものの、23年度の5%は達成できる見通しだ」と強調した。

日産ノート e-POWER《写真提供 日産自動車》 日産自動車の内田誠社長《写真提供 日産自動車》