トヨタ MIRAI 新型《写真撮影 中野英幸》

二酸化炭素問題が取り上げられる頻度が上がり、じわじわと注目される燃料電池である。水素スタンドの数が圧倒的に少ないという問題はあるけれど、市販車として進化する『MIRAI』は存在するだけで尊い。

2代目のMIRAIは、すらりとしたスタイルになり、初代のぽっちゃり感が払しょくされている。エンジン車やハイブリッド車とは異なるシステムを詰め込むため、フロントマスクは「鼻先からどのように空気をとりこんで中を冷やすか」とか、車高は「自然な運転姿勢と屋根の高さをどうやって成立させるか」とか各チームで調整ポイントは多い。それでも新型のリッチでゴージャスな雰囲気は、水素で走る特別なクルマ感がうまく表現できていると思う。私、好きだし、このデザイン。でも、全長4975mmは大きいけれど。


インテリアは、木製パネルを細く器用にとりいれた繊細な美しさ。特に、運転席と助手席のデザインを対称にせず、運転席の緊張感と助手席の広がり感をバランスさせていて、それぞれおもてなしされている感がひしひしと伝わってくる。

だけど思うのは、どうして技術者はこんなにエアコンが好きなんだろうということ。ナビ画面で地図が表示されたとき、そこかしこにエアコン表示が出てくる。トヨタのほかの車種でもエアコンだけ特別扱いしているものがあるし、ほかのメーカーでもやりがちなエアコン重要説(特に高級車系)。


おじさまたち(想定ユーザー層)は、そんなにエアコンをいじるのが好きなのか? 常に温度表示を視界に入れていないと落ち着かないのか? このへんは、どうも納得できない。

走りは、アクセルペダルを踏んだ瞬間から、するりと滑らかな走りっぷり。しかも全体的にずっしりとした重心の低い安定感を感じながらも、加速はことごとく軽快で、全身で感じる特別な走行感はクセになる。

モーター走行が成しえる圧倒的な加速やワンペダル的な操作性というギミックは用いず、あくまでも正統な走りの高級感。これからもMIRAIには、徹底的にこの王道を突き進んでもらいたい。



■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、ノンフィクション作家として子どもたちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。

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