ヤマハ MT-07 ABS《写真提供 ヤマハ発動機》

ヤマハ発動機は2月12日、2020年12月期(2020年1〜12月)連結決算を発表。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響などにより、2期連続の営業減益となった。

売上高は、ロボティクス事業と金融サービス事業で増収となったが、新型コロナウイルス感染症の影響により、ランドモビリティ事業の二輪車とマリン事業で販売台数が減少し、全体では前期比11.6%減の1兆4713億円となった。

営業利益は、減収に加え、為替影響や上期に実施した工場操業停止による稼働率低下などの要因により、同29.2%減の817億円となった。経常利益は同26.6%減の877億円。純利益は同29.9%減の531億円となった。

ランドモビリティ事業の売上高は同15.5%減の9465億円、営業利益は同55.7%減の185億円だった。先進国二輪車では足元での総需要は回復したが、総需要の急回復に生産が追い付かず、販売台数が減少。また、本社とフランスの工場を一定期間操業停止し稼働率が低下したことから、減収・減益となった。新興国二輪車では総需要は回復基調だが、新型コロナウイルス感染症の影響によるロックダウンや社会活動制限による景気低迷、消費者心理の低下などにより、減収・減益となった。インドネシアでは、景気悪化に伴う販売金融の審査厳格化や大規模社会制限が続き、需要が大きく落ち込んだ。フィリピンでは、足元の総需要の急回復に対し供給が遅れ、販売台数が減少。ベトナムでは総需要は緩やかに回復しているが、景気後退を受けて低価格モデルの販売台数が増加した結果、モデルミックスが悪化した。一方で、インドでは、足元の総需要は回復し、新モデルの販売好調により8月以降、前年を上回る販売が続いている。台湾では、政府によるエンジン車への補助金制度が追い風となり、総需要・卸販売とも前年を上回るまで回復した。

RV(四輪バギー、レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル、スノーモビル)では、アウトドア需要が急増し、最大市場の北米をはじめ、主要地域で販売が増加し増収・増益となった。電動アシスト自転車では、新型コロナウイルス感染症の影響による生産遅延や営業活動の自粛により、日本での完成車の販売台数が減少し減収となったが、E-kitの販売増加によりモデルミックスが改善したことから増益となった。

マリン事業の売上高は同6.2%減の3283億円、営業利益は同13.3%減の506億円となった。上期は新型コロナウイルス感染症の影響を受けたが、ロックダウン後のアウトドア需要の急増により、船外機・ウォータービークルの需要が増加した。マリン製品全体の販売台数は、北米ボートビルダーの操業停止やディーラーの休業、本社工場や米国工場を一定期間操業停止したことにより減少したが、工場操業停止後に生産稼働率を上げたことにより、下期の北米・欧州向けの船外機の販売台数は増加。コロナ禍でも大型船外機の販売拡大は継続しているが、上期の影響を挽回することができず事業全体では減収・減益となった。

ロボティクス事業の売上高は同9.7%増の830億円、営業利益は同57.4%減の33億円となった。アジアでサーフェスマウンターの販売台数が増加し、さらに下期からは欧米での販売台数も回復したが、自動車領域の投資が抑制された結果、サーフェスマウンターのモデルミックスが悪化。これに加え、前年第2四半期会計期間末よりヤマハモーターロボティクスホールディングスを子会社化した影響により、増収・減益となった。

金融サービス事業の売上高は同12.5%増の461億円、営業利益は5.9%減の76億円。先進国事業好調により増収となったが、為替影響や貸倒引当金の増加、卸販売向け債権の減少により減益となった。

その他事業の売上高は同13.9%減の674億円、営業利益は17億円(前期は4億円の赤字)。ゴルフカーや発電機の販売台数が減少し減収となったが、前年は市場対策費用が発生していたため、営業利益は前期比で増益となった。

今期の見通しについては、ワクチンの開発と接種拡大により世界が新型コロナウイルス感染症拡大前の状況に徐々に戻っていく1年になると予想。売上高は1兆7000億円(前期比15.5%増)、営業利益1100億円(同34.7%増)、経常利益1100億円(同25.5%増)、純利益720億円(同35.7%増)とした。

ヤマハ発動機 MJ-GP1800R SVHO《画像:ヤマハ発動機》