中日本ハイウェイ・メンテナンス名古屋、ハイウェイ・トランスフォーマー《写真撮影 竹内輝》

日本デザイン振興会は10月30日、主催事業である2020年度グッドデザイン賞の「大賞」、「金賞」、「グッドフォーカス賞」の受賞結果を発表。中日本ハイウェイ・メンテナンス名古屋の大型移動式防護車両「ハイウェイ・トランスフォーマー」が金賞(経済産業大臣賞)に選ばれた。

金賞は本年度全受賞デザインの中で、総合的に特に優れたデザインに与えられるもの。

ハイウェイ・トランスフォーマーは、米国で活用されている移動式大型防護車両を参考に、グループ会社の中日本ハイウェイ・メンテナンス名古屋と東邦車輌が共同で約2年かけて日本での運用に適した規格で開発。高速道路などの作業現場で、車両後端の衝撃緩衝装置とトレーラー中央部の保護ビームを展開させるなどして車体構造を変形させ、作業員の安全を確保する。車両後端の衝撃緩衝装置は米国製で、2.5tの車が80km/hで衝突しても運転者が重傷を負わないという基準を満たす。すべてを展開することで走行時の全長15.9mから作業時は23.35mになる。

審査委員はハイウェイ・トランスフォーマーについて、「高速道路上での作業員の死傷事件がきっかけとなって開発された車両は、人の命を守るという重大ミッションを果たすだけでなく、工事のあり方を変える可能性を提示している。道路運送車両法の基準サイズのトレーラー車を、前後左右に伸縮(トランスフォーム)することによって、危険な高速道路上で、安全な作業エリアを確保するという大胆な発想と技術力によって、世界でも類をみない車両を実現した。作業員を守り、道路を守ることは、最終的にはドライバーの安全と交通文化につながる。ますます重要性が高まるインフラのメンテナンス技術にて、車両自体が、人も車も守るという新しい価値観に基づいた、画期的なデザインだ」と高く評価している。

なお、2020年度グッドデザイン大賞はWOTAの自律分散型水循環システム「WOTA BOX」が受賞。金賞はハイウェイ・トランスフォーマーをはじめとする19件、グッドフォーカス賞は12件がそれぞれ受賞している。

走行時のハイウェイ・トランスフォーマーの全長は15.9m《写真撮影 竹内輝》 作業時のハイウェイ・トランスフォーマーの全長は23.35m《写真撮影 竹内輝》 自律分散型水循環システム「WOTA BOX」《写真提供 日本デザイン振興会》