評価キット(ノートパソコンは含まず)《写真提供 アルプスアルパイン》

アルプスアルパインは、Bluetooth Low Energyチップを使用した高精度位置測位システムの評価キットを11月より提供開始すると発表した。

昨今、IoT活用にて、自動車をはじめ生産や物流など幅広い市場において対象物の位置を高精度に測位するアプリケーション需要が高まりつつある。特に車載機器ではデジタルキーなどによるMaaSの実現には、個人認証に加え、対象装置の位置特定は欠かせない技術となっている。一方、これまでの位置測位ではバーコードやICタグなどによる物理的なスキャニング行為や、GPSやWiFiなどを利用した高価なシステム構築が必要になるなど、さまざまな課題があった。

アルプスアルパインでは、これら課題に対応すべく、これまでも「物流トラッカー」など、Sub-GHz帯を利用した位置測位モジュールの製品化に取り組んできたが、現在、新たに低消費電力のBluetooth Low Energyチップを利用した高精度位置測位技術の開発を進め、2021年の製品化および量産化を目指している。

同社では量産に先駆け、高精度位置測位システムを利用した評価キットを開発し、11月より提供開始する。同社の高精度位置測位技術は、2018年5月に買収を発表した米国・GreinaTechnologies,Inc.(RF Ranging,Inc.)が独自に開発した位置検出アルゴリズムを採用。電波到来角度/伝搬時間の同時測定が可能なため、高精度な測位ができる。

また、位置測位には多くの市場で導入実績のあるBluetooth Low Energyチップを採用。Bluetoothを利用している既存システムへのデータ通信が容易なため、社会実装性にも優れる。さらに開発キットのチップは車載市場などで豊富な実績とセキュリティ技術を持つNXPセミコンダクターズ社の「KW38ワイヤレス・マイクロコントローラ」を採用。一つのチップで測位とBluetooth Low Energy通信を利用することが可能となっている。

評価キットは受信装置2台、送信装置1台で提供予定(増設可)。アルプスアルパインでは、本高精度測位技術をいち早く確立、評価キットを市場へ提供することでセット機器の高付加価値化を実現させ、車載市場やEHI(Energy,Healthcare,Industry)市場における安心・安全かつ利便性に優れたユーザーエクスペリエンスの実現へ貢献していく。

ミニマムシステム、Anchor(受信)機能モジュール×2、Tag(送信)機能モジュール×1《写真提供 アルプスアルパイン》