「HAICoLab」の概念図《写真提供 横浜ゴム》

横浜ゴムは10月26日、デジタル革新のためのAI利活用構想「HAICoLab(ハイコラボ)」を策定した。

HAICoLabでは、人とAIとの協奏によって、AIが苦手とするデータの存在しない領域(未踏領域)も含めた知見の探索を可能とし、プロセスや製品やサービスの革新を目指す。これにより、ユーザーエクスペリエンスの向上および内閣府が提唱するAIやIoTなどの革新技術により実現する新たな未来社会の姿「Society 5.0」の実現に貢献する。

HAICoLabの特徴は人間特有のひらめきや発想力とAIが得意とする膨大なデータ処理能力との協奏によって新たな発見を促しデジタル革新を目指すこと。人が設定する仮説に沿って、IoTなどによる現実データやシミュレーションなどによる仮想データを生成・収集し、AIにより予測・分析・探索することで、新たな知見の獲得が可能となる。

仮説設定では、行動心理学や行動経済学を活用し新しい発見の障壁となる思い込みなどのバイアスを意識的に排除。さらに、得られた知見が記憶の断片となり、それらの結合により新しいアイデアの創出(ひらめき)が期待できる。このバイアス排除とひらめきによる仮説設定によって、未踏領域での知見の探索を目指す。

横浜ゴムはHAICoLabの策定に先駆け、材料やタイヤの設計開発プロセスにおいてAI利活用による技術開発を進めており、2017年にマテリアルズ・インフォマティクスによるゴム材料開発技術、インフォマティクス技術を活用したタイヤ設計技術を発表。今後はHAICoLabを活用し、開発の効率化およびスピード向上や製品品質の安定化、新技術やソリューションの発見、暗黙知や技術的なやり取りのデジタル化などを目指していく。