チャンピオン獲得を決めたダ・コスタ。《写真提供 Formula E》

フォーミュラEはドイツ・ベルリンにて2019/2020シーズン最終の6連戦を実施中。そのなかで現地9日、2戦を残して、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタが自身初のドライバーズタイトル獲得を決めている。

8月5〜13日にテンペルホーフ元国際空港でコースを2連戦ごとに“アレンジ”しながら、9日間で6レースを実施する「ベルリン6連戦」。現地9日に開催されたシーズン第9戦(ベルリンでの4レース目)の結果をもって、2019/2020シーズンのドライバーズチャンピオンが決定を見た。2戦を残す圧倒的な強さで自身初王座を射止めたのは、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(DS Techeetah)である。

ダ・コスタは2月の第5戦で今季初優勝。約5カ月の中断を挟み突入したベルリン6連戦(第6〜11戦)では、第6戦、第7戦と連勝し、第5戦からの3連続ポール・トゥ・ウインで大量リードを築いた。その後も第8戦で4位と着実に加点。そして第9戦を2位で終えて、途中から独走となったチャンピオンロード、そのゴールを大きく手前に引き寄せてのフィニッシュを果たしている。

アントニオ・フェリックス・ダ・コスタはポルトガル籍の28歳(今月31日で29歳)。F3のマカオGPでは2012、16年と2度の優勝経験を誇る。ただ、この実績が示すのは、一概には言えないが彼がF1に参戦するための適切なチャンスになかなか巡り会えなかった、あるいは数少ない機会で成果を出しきれなかった、というところでもあるだろう。これもひとくくりには言えないけれど、レース大国とは評されない国の実力派ドライバーにはありがちな例かもしれない。

フォーミュラEでは発足初季の2014/2015シーズンから優勝を飾るなどしていたダ・コスタ。だが、ここでも次に勝利を得るのは4季後の昨季(2018/2019シーズン)になるなど、これまた苦労していた。しかしDS Techeetahに移籍して迎えた今季、コロナ禍で揺れたシーズンを歴史的圧勝で制し、その実力を存分に見せつけた。

「今は正しい言葉が見つからないよ。僕のキャリアにおいては、もうあきらめたくなるようなことも多かった。周りで支えてくれた全ての人々に感謝したい」との旨を語る新王者。原則無観客開催のため、チームメンバー以外の近しい人々とは大型モニター越しに王座獲得の喜びを分かち合う姿も印象的だった。来季は初めて世界選手権となるこのシリーズで、ディフェンディングチャンピオンとしての活躍を見せてくれることだろう。

第9戦の優勝はダ・コスタのチームメイト、昨季まで2季連続でドライバーズタイトルを獲得していたジャン-エリック・ベルニュ。1-2フィニッシュしたDS Techeetahの昨季に続くチーム部門タイトル獲得も決まっている。

フォーミュラEの今季、シーズン6(2019/2020シーズン)は現地12〜13日にベルリン6連戦の最終2戦(第10〜11戦)を実施して終幕する予定。そしてフォーミュラEの来季、世界選手権としての初季になるシーズン7は、現段階で2021年1月にチリで開幕する予定となっている(開幕時点で2021年を迎えている予定ながら、“年”を用いた呼称としては「2020/2021シーズン」とされる。終幕予定は2021年7月)。

チャンピオン獲得を決めたダ・コスタ。《写真提供 Formula E》 #13 アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ《写真提供 Formula E》 チャンピオン獲得を決めたダ・コスタ(この写真のみ今年2月29日、第5戦マラケシュでの優勝時。他の写真は全て第9戦ベルリン)。《写真提供 Formula E》 第9戦はDSテチーター勢が1-2フィニッシュ(#25 ベルニュ、#13 ダ・コスタ)。《写真提供 Formula E》 日産の#23 S.ブエミは第9戦で決勝3位に。《写真提供 Formula E》 第9戦の表彰式。《写真提供 Formula E》 ベルリンでの戦いはあと2レース続く。《写真提供 Formula E》