Delta EV Charging Station《写真撮影 高木啓》

デルタ電子と出光興産は、複合型EV充電の新たなサービスモデル「Park & Charge」を検証する事を目的とした、EV充電ステーションの実証店舗「Delta EV Charging Station(Yokohama)」を、8月8日に横浜市にオープンする。

EVの普及にあたっては、充電インフラの整備が課題となっている。EVユーザーの利便性とサービスの持続性向上を目的として、出光のサービスステーション跡地を活用し、駐車場とデルタ電子のEV充電器をセットで提供する実証実験を開始する。EVユーザーが車を停めて充電をしている間にカフェで時間を過ごすなど、周辺施設の利用を可能にすることで、新たな顧客体験の創出に取り組む。

実証店舗は元は出光のサービスステーションがあった場所で、大桟橋通り沿いにあり、中華街や横浜スタジアムも近い。900平方メートルの敷地内に合計6か所の駐車枠があり、そのうち3か所にEV充電器、1カ所に充放電器を設置する。充電器と充放電機はデルタ電子製で、支柱の上に設置されているが、本体は壁掛けタイプだ。

充電スタンドはCHAdeMOとCCSに対応する急速充電だ。充電から支払いまでスマートフォンのアプリから可能で、併設カフェで利用できるクーポンも発行される。なお駐車料金が別途必要になる(30分500円)。電気は電力線からのほか、施設の蓄電池からも供給される。

蓄電池は放電(V2B)にも利用され、放電はボランティアの利用を期待している。放電時に発行されるクーポンの内容を充電時発行のものと変えてインセンティブにする。充放電制御により施設全体の使用電力のピークカット、ピークシフトに貢献し、災害によるインフラの停電発生時には電源ともなる。

カフェはデルタ電子独自ブランドのカフェ「Innergie CAFE」を併設し、スペシャリティコーヒーを提供する。元は洗車機があったスペースだ。店内にはUSB-C電源アダプタ「Innergie 60C」を設置する。実証店舗にはカフェのほかデルタ電子のショールームも併設される。併設の施設はどのような種類のものがいいのか、これも今後の検討課題だ。

実証店舗は実験的な色合いが濃い。利用予測や採算ラインも公表できる具体的な数字はないという。施設の建設コストも明らかにされていないが、場所や施設がもともと出光の所有だったりして、実用化に参考となるようなものではないという。出光は、EV充電ステーションの立地として、サービスステーション跡地の転換にもこだわらないという。

すでに出光では、サービスステーションにEV充電スタンドを併設している例があるが、うまくいっていないようで、関係者は「まだニーズをつかみ切れてない」という。デルタ電子との協業のEV充電ステーション実証店舗は、顧客との新しい接点の実証実験でもある。実証店舗では、“ガソリンスタンド”のブランドをいっさい表に出さないようにしている。出光は昭和シェルとの統合後、サービスステーションのブランドを「アポロステーション」にすることを決めているが、EV充電ステーションのブランドをどうするかは、今後の検討課題だ。

Delta EV Charging Station《写真提供 デルタ電子》 Delta EV Charging Station、EV充電器&駐車場車番認証センサ《写真撮影 高木啓》 Delta EV Charging Station、EV充電器&駐車場車番認証センサ《写真提供 デルタ電子》 Delta EV Charging Station、EV充電器《写真撮影 高木啓》 Delta EV Charging Station、EV充電。プレゼンテーションのため枠外に駐車。《写真撮影 高木啓》 Delta EV Charging Station、EV充放電器《写真撮影 高木啓》 Delta EV Charging Station、カフェ《写真提供 デルタ電子》 Delta EV Charging Station、カフェ《写真撮影 高木啓》 Delta EV Charging Station、カフェ《写真撮影 高木啓》 Delta EV Charging Station《写真提供 デルタ電子》 Delta EV Charging Station《写真撮影 高木啓》