アストンマーティンは6月24日、ブランド初の二輪車、『AMB 001』(Aston Martin AMB 001)のプロトタイプによる走行テストを開始した、と発表した。
◆英国のブラフスーペリアと共同開発
この二輪車は、英国のブラフスーペリアと提携して共同開発された。ブラフスーペリアは1919年、ジョージ・ブラフ氏が設立した。高性能かつ高品質なブラフスーペリアの二輪車は、「オートバイのロールスロイス」と称されていたが、1940年に二輪車生産から撤退した。
2013年、二輪デザイナーのティエリー・ヘンリエット氏が、ブラフスーペリアを復活させた。ブラフスーペリアの最も有名な二輪車で、映画『アラビアのロレンス』(1962年公開)のモデルになったトーマス・エドワード・ロレンスも所有していた『SS100』を、現代の技術で再現している。
アストンマーティンAMB 001はサーキット専用モデルとなり、100台を限定生産する予定だ。
◆乾燥重量180kgの軽量設計
AMB 001のデザインは、ミッドシップエンジンレイアウトのアストンマーティン車の新シリーズからインスピレーションを得たものだ。スターリンググリーンとライムエッセンスのボディは、アストンマーティンレーシングの伝統的なカラーリング。マットブラック仕上げのホイール、フォーク、ブレーキを採用する。
すべてのコンポーネントは、カーボンファイバー、チタン、ビレットアルミなどの素材を使用して、特別に設計されている。この軽量構造により、乾燥重量は180kgに抑えられた。彫刻的なボディフォームには、アクセントとして、カーボンファイバーのフィンが添えられる。そのデザインは、アストンマーティン車のサイドストレークがモチーフだ。フロントカウルのエアロウィングは、ダウンフォースを発生させるために装着される。
アストンマーティンのハイパーカー『ヴァルキリー』と同様に、アストンマーティンのエンブレムは、レーザーカットされた厚さ9ミクロンのステンレスから作られている。このエンブレムには、ラッカー仕上げが施された。
◆最大出力180hpのV型2気筒ターボ搭載
AMB 001には、排気量997ccのV型2気筒ガソリンターボエンジンが搭載される。最大出力は180hpを獲得する。可変ジオメトリーターボは、インタークーラーによって、効率が高められた。低慣性の最新ターボは、ターボラグが少ないのが特長だ。エキゾーストマニホールドは、「インコネル」の超合金とした。
トランスミッションは6速で、「APTC(アドラー・パワー・トルク・クラッチ)」を組み合わせる。ブレーキシステムは、レーシングブレーキのスペシャリストによって開発された。アストンマーティンによると、強力な制動力を発揮するという。リアのスイングアームには、プログレッシブダンピングシステムが組み込まれた。
シートには、ハンドメイドのオックスフォードタンレザーを使用する。このステッチ入りのレザーシートは、ハンドルバーのグリップと共通イメージとした。
◆シャシーの仕上げに重点を置いたサーキットテスト
プロトタイプによる走行テストは、開発プロセスの最も重要な部分のひとつ。開発チームがAMB 001のシャシーや挙動、人間工学などを確認する。アストンマーティンのスポーツカーのエンジニアと同様、テストライダーはAMB 001のダイナミックテストを通じて、コーナリング、ブレーキング、加速などパフォーマンスのすべての領域の性能を確認していく。
サーキットテストでは、シャシーの仕上げに重点を置く。エンジンのベンチテストは並行して行われ、効率的に開発を進める。
◆価格は10万8000ユーロ
このテストが完了すると、AMB 001は今秋から、フランス・トゥールーズのブラフスーペリアの工場において、限定100台をハンドメイドする計画だ。価格は10万8000ユーロ(約1300万円)。2020年内から、顧客への納車を開始する予定だ。
アストンマーティン初の二輪車「AMB 001」、走行テスト開始…今秋から100台限定生産
2020年06月25日(木) 20時15分
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