日産自動車、内田誠社長《写真 日産自動車》

日産自動車の内田誠社長は5月28日に、オンラインによる記者会見を開き、経営再建策となる2020年度から23年度まで4か年で取り組む「事業構造改革計画」を発表した。

計画について内田社長は「過度な販売台数の拡大は狙わずに、収益を確保しながら着実な成長を果たしていく」と指摘。最終の23年度にはグローバルでの販売シェア6%と、中国事業を比例連結した場合の売上高営業利益率5%の実現を掲げた。

達成に向けては、過剰となっている生産能力の削減など「最適化」と、市場やモデルなどについての「選択と集中」の両面から推進する。生産能力については、18年度時点で720万台だったグローバルでの年産能力をおおむね20%減となる540万台(通常能力)に削減する。残業などによる最大能力は600万台規模を想定している。

能力の削減ではインドネシア工場の閉鎖のほか、スペインのバルセロナ工場も閉鎖に向け関係先との協議を進めるとした。内田社長は「700万台規模の門構えで、実際の販売は500万台規模となっており、正しい軌道へ修正したい」と述べた。ただ、能力減などに伴うグローバルでの人員削減数については、「関係先との協議もあるので、今回は控えたい」とし、公表は先送りした。日産は、昨年7月のリストラ策の発表では1万2500人の削減を示していた。

生産能力とともに、モデル数も20%の削減を計画し、現在の69車種から55車種以下とする。また固定費については年間3000億円規模の削減を図っていく。

選択と集中では、「コアマーケット」を日本、中国、北米の3大市場と定める一方、ロシアでのダットサン事業や韓国市場からの撤退を進める。また、仏ルノーや三菱自動車工業との連合内での開発や生産の補完活用も積極的に推進する。

また、グローバルでは今後18か月で12の新型車を投入し、業績の改善を加速させたい構えだ。日本では23年度までに新たに電気自動車(EV)とハイブリッド(HV)システムである「e-POWER」搭載車4車種も追加し、販売のうち60%を電動車とする計画を示した。

内田社長は「一切の妥協なく断行し、日産を必ず成長軌道に戻していく。経営層が率先して、失敗を認めて正すところは正すという企業文化に変えていきたい。日産は常に『人』のための技術に挑戦してきた。そうした日産らしさを取り戻していく」と、強調した。

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