決算を発表するスズキの 鈴木俊宏社長(2019年11月参考画像)《撮影 池原照雄》

スズキは5月26日に2020年3月期の連結決算をメディアとの電話会議によって発表した。新型コロナウイルスの感染拡大やインド市場の低迷などにより、営業利益は前期比33.7%減の2151億円と2期連続の減益になった。

今期(2021年3月期)の業績予想については新型コロナウイルスの影響など「未確定要素が多く、適正かつ合理的な予想値の算出が困難」(長尾正彦常務役員)として公表を見送った。

前期の四輪車グローバル販売は14%減の285万2000台と低迷した。最大シェアをもつ主力市場のインドが金融引き締めやコロナ禍の影響などによって不振であり、スズキの販売も18%減の143万6000台と落ち込んだ。また、完成検査体制の再構築に伴う減産や消費税増税の影響が出た日本は7%減の67万2000台となった。

営業損益段階では販売減少や構成比の悪化などによる減益要因が1272億円に達した。このうち新型コロナの影響は128億円としている。為替変動では同社への影響が大きいインドルピーやユーロなどに対して円高となり、他通貨も含めた減益影響は297億円に及んだ。

純利益は24.9%減の1342億円で、営業利益同様に2期連続の減益となった。売上高は9.9%減の3兆4884億円と3期ぶりの減収だった。

電話会議で鈴木俊宏社長は前期業績について「日本は完成検査の不正問題を含め対応してきた。インドは市場回復の遅れに加えて期末にはコロナの影響が出始めた。そうした色々な問題があって減収減益になった」と指摘した。

コロナ禍に対峙する今期については「(業績の)着地がどれくらいになるかは現状では言えないし、誰も言えないのではないか」としたうえで、「少なくとも日本では軽自動車のシェア30%、インドでは(乗用車の)シェア50%確保をしっかりやっていきたい」と強調した。

また鈴木修会長は「4〜6月期の挽回は7月以降の上期中にしたいと考えている。幾多のピンチを経験したので、とに角自信をもって、行動力をもってチームスズキ一丸で頑張りたい」と話した。

決算会見をする鈴木修氏(右)と鈴木俊宏社長(2019年5月参考画像)《撮影 山田清志》 スズキ・クロスビー