ホンダ 八郷隆弘 社長《撮影 小松哲也》

ホンダの八郷隆弘社長は5月12日にオンラインを通じて開いた決算説明会で、子会社の本田技術研究所から四輪車の開発部門を4月にホンダ本体へ移管したことについて「即断即決体制を進化させながら全体最適な事業運営を行うため」と述べた。

八郷社長は今回の組織体制の変更について「四輪事業体制の変更は、ホンダは従来、営業、生産、開発、購買という領域が部門として自立した中で、協調体制をとった運営をしてきた。それを今回、この領域を統合して一体で運営できる体制へ変更した」と説明。

その背景として「もともとホンダの商品開発のユニークなところとして営業、生産、開発、購買がそれぞれチームを造ってやってきたが、事業規模がだんだん大きくなってくるにつれて、やはりどうしても部門最適の考えが強まってしまって、その結果、いわゆる調整や業務の重複が非常に多くなってきて、無駄な作業がいろいろ発生してきている。それから協調するので誰が本当の責任者なのかということが曖昧になってきてしまった」と指摘。

その上で「今回、各領域を統合した一体運営体制に変更することで商品企画から開発、量産までを一気通貫にしたオペレーションを行い、決裁者を明確にすることで即断即決体制を進化させながら全体最適な事業運営を行っていけるように四輪事業体制の強化を行った」と述べた。

一方、本田技術研究所に関しては「今まで研究所は量産化を前提にした商品開発と、革新技術の開発という2つの役割を担ってきた。しかし事業規模が拡大してグローバルオペレーションがこれだけ大きくなっていくと、やはり量産開発が拡大して、少し革新技術の研究が弱くなってきてしまった」との問題点をあげた。

そこで「商品開発のところは四輪事業と一体化して、強い商品を造って、それを支えるグローバルでの強いモノ造りを実現し、その結果として強い事業にしていこうということで研究所から四輪事業本部の中に商品開発の部分を統合した。そして研究所は本来の革新技術の研究に特化して、そこを強化して将来の価値創造に集中できる体制にした」と、八郷社長は今回の組織体制の変更の意義を強調した。

ホンダ 2020年3月期決算 説明会《動画配信スクリーンショット》 ホンダ 2020年3月期決算 説明会《動画配信スクリーンショット》 ホンダ 2020年3月期決算 説明会《資料 ホンダ》 本田技術研究所四輪R&Dセンター(栃木)《写真 ホンダ》