ライブ配信の決算発表を行う八郷隆弘社長《撮影 池原照雄》

ホンダは5月12日、2020年3月期の連結決算を発表した。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、営業利益は前期比12.8%減の6336億円と、3期連続の減益になった。

今期(2021年3月期)の業績予想については「現時点で合理的な算定が困難」(倉石誠司副社長)として、公表は見送った。

前期は四輪車のグローバル販売が10%減の479万台となり、4期ぶりに500万台を割り込んだ。また、二輪車のグローバル販売も主力のアジアが振るわず4%減の1934万台と、初めて2000万台を突破した前々期には及ばなかった。

四輪車の地域別では主力の米国が5%減の153万7000台と感染拡大による影響が出た。中国も同様の影響はあったが、新モデル投入もあって2%減の144万1000台と落ち込みは軽微だった。一方で、日本は軽自動車『N-WGN』や主力小型車『フィット』といった新モデルの投入が遅れたことや消費税増税により、8%減の68万9000台にとどまった。

前期の為替レートは1ドル109円で、前々期から2円の円高となり、営業損益段階での減益要因は1058億円となった。また、販売減や金融事業への引き当てなど新型コロナウイルスの影響は1298億円に及んだ。この結果、営業利益は3期連続の減益、25.3%減の4557億円となった純利益も2期連続の減益だった。ただ、新型コロナ関係など一過性の影響を除くと、営業利益は前々期から1008億円(1%)の増益としている。

ライブ配信による記者会見に出席した倉石副社長は、主要地域の今後の需要動向について「中国は新エネ車の優遇措置の延長やナンバープレート規制の緩和などで市場は活発化しており、受注は好調となっている。米国は徐々に販売が再開されているが、全米での再開は夏ごろを想定している」と指摘した。

また、八郷隆弘社長は新型コロナウイルスという重い課題を抱えるなかでの取り組み方針について、「事業環境だけでなく、われわれの(商品開発への)価値観にも変化をもたらすことになろう。チームホンダ一丸となってこの環境を乗り越えていきたい」と強調した。一方で開発投資に関しては「資金面では厳しい状況に来ているが、次世代技術への投資は何としても続けていく」と話した。

ライブ配信の決算発表を行う倉石誠司副社長《撮影 池原照雄》 ホンダN-WGN新型《撮影 雪岡直樹》 ホンダ・フィット新型《写真 ーンダ》