「JAPAN RACERS SQUAD MEETING」のトークイベントに登場した(左から)室屋義秀選手、中上貴晶選手、佐藤琢磨選手

ブライトリング・ジャパンは12月8日、同社のスクワッド・コンセプトから誕生した室屋義秀選手、佐藤琢磨選手、中上貴晶選手を招き、「JAPAN RACERS SQUAD MEETING」と題するトークイベントを東京タワーにほど近いスターライズタワーで開催した。

◆世界最高峰のレーサー3人が子供達に夢を伝える

スクワッド・コンセプトは、ブライトリングが昨年10月、「それぞれの分野のトップで戦う3人がチームを組み、共通のミッションに挑戦する」というコンセプトの下、世界最高峰の舞台で躍動するレーサーとして共通のミッションに挑む3名を選び出したもの。

室屋義秀は、レッドブル・エアレースの2017年ワールドチャンピオンになり、2019年も全4戦中3戦で優勝し、シリーズを通して2位を獲得。佐藤琢磨は世界三大レースの1つ、インディ500でアジア人として初めて2017年に優勝した経験を持つ。中上貴晶はオートバイレースの最高峰シリーズ、ロードレース世界選手権MotoGPに2012年から参戦して活躍中だ。

3人は世界最高峰の舞台で活躍するレーサーでありながら、子供達に夢を伝える啓蒙活動にも積極的に参加している。この日は、海外遠征でなかなか揃うことがない3名が一堂に集合するという貴重な機会となった。

イベントは午前の「レーサーズ・セッション」と、午後の「ドリーム・セッション」の2回に分けて行われた。まず「レーサーズ・セッション」では世界で戦う3人が今シーズンを振り返り、戦いの舞台裏や世界へ挑む心境などを語る場として設定された。一般から抽選で募った150組300人が参加した。「ドリーム・セッション」では抽選で選ばれた小学生から高校生まで1名と保護者1名のペア100組200人が参加し、子供たちに向けた夢を持つことの大切さ、夢を実現する方法などをテーマに3人がその思いを語った。「ドリーム・セッション」の最後にはレーサーへの質問や撮影会など子供たちとの交流も図られた。

◆結果を待つ間に力が入り過ぎて、歯が欠けた

「レーサーズ・セッション」では3人がそれぞれに今シーズンを振り返った。

この中で室屋は「4戦を戦った中で3戦で優勝。なのに1ポイント差でシーズン優勝を逃した。多くの人から3戦も勝っているのにどうして?と聞かれたが、これは3戦目で1ポイントしか取れなかったのが大きかった」と振り返る。その一方でエアレース最後となる千葉大会で優勝できたことに触れ、「最初のRound of 14で落としたもののRound of 8へ敗者復活できたし、Final 4ではノーペナルティで終えることができた。これはもうファンの力強い後押しがあったからだと思う。」と応援してくれたファンに感謝の意を込めて語った。

そしてここで意外な事実が明かされた。「実はFinal 4で残りの2人のタイムを固唾をのんで見守ったわけだが、あまりに力が入り過ぎて歯が欠けてしまった」というのだ。この秘話には会場も大爆笑。また、佐藤が「これだけ日本大会で強いのはどうして?」との質問に室屋は「2016年は力を出し切った感があったけれど、2017年の時は自分のミス以上に相手がミスをしてくれた。今シーズンも最初で失敗したけれどファンの力で助けられた。日本大会は特別な力が働く、そんな感じだ」と述べた。

佐藤は「インディカー・シリーズは短期間で、まったく種類の違うコースで戦うことの難しさはある。それでも今季は全17戦のうち2回を優勝することができ、総合順位は9位。この結果もファンの後押しが大きい」と述べた。また、「今年は北米参戦10年目だった。来年は“1が並ぶ”11年目ということでさらなる飛躍を遂げたい」と来シーズンでの勝利へ向けて抱負を述べた。

中上は「今季は第8戦のオランダGPで事故に巻き込まれて右肩を負傷。その後、レースは続けたものの肩の痛みからパフォーマンスを発揮できずにいた。このままでは自分として許せない部分があり、後半3戦を欠場して治療して来季に備えることにした」と厳しかった今年の戦績を振り返った。一方で今シーズン最後となった日本GP前の2戦で「ポイントが獲得できる10位に入れたのは運が良かったと思う」と述べた。

ぞれぞれがパフォーマンスを発揮した今シーズン。開催の復活が期待されるエアレースは今のところ動きはないが、室屋義秀は来年1月に正式な活動について発表を予定。シーズン中、2度の優勝を果たした佐藤琢磨、肩の負傷から立ち上がって来季への復活をかけた中上貴晶と、来季に向けた3名の活躍が期待される。

トークイベントで今シーズンを振り返る3人 エアレースの最終戦となった千葉大会で、結果待ちで力を入れすぎて歯が欠けたことを明かした室屋 レッドブル・エアレース千葉大会で3度に優賞を果たした室屋義秀選手(中央) エアレースで室屋は3回の優勝をしたにもかかわらず、1ポイント差でシーズン優勝を逃した 2回の優勝を果たし、来シーズンも同じチームで戦うことにした佐藤琢磨選手 今シーズンは2回の優賞を果たした佐藤 月に4回もの過酷なレース展開となるインディカーレース モトGP第8戦で転倒事故に巻き込まれ、肩を負傷してパフォーマンスが発揮できなかったと残念がる中上貴晶選手 中上貴晶選手 後半は日本GPを最後に欠場して治療に専念した中上 第2部では子供達を交えた「ドリーム・セッション」を開催した 「ドリーム・セッション」の最後は握手会と撮影会が実施された 別のホールでは、3名のレーサー達が実際にレースで使用したマシンや、優勝の盾などが披露された 室屋選手が獲得したエアレース千葉大会での優勝盾 エアレースの室屋が以前使っていたコックピット 佐藤琢磨がインディ500で優勝した際のトロフィーも展示された 佐藤琢磨がインディ500で使ったマシン 中上貴晶がモトGPで使っているマシンではバンク角の体験もできた 室屋が空へと夢を膨らませるきっかけとなった大学時代のグライダー 佐藤琢磨がレースへ思いを馳せるようになったのは10歳の時に観戦したF1レースだった 中上(中央)はポケバイのレースで頭角を現し、レース経験では3人の中で最も長い