マツダ『CX-30』では、まずはパッケージングに感心した。全長もホイールベースも『マツダ3』より短く、全高は1550mm未満なのに、リアシートは座面が高めで理想的な着座姿勢が取れ、ひざの前や頭上も余裕がある。乗り降りもしやすい。『CX-3』やマツダ3とは違う方向性を目指したことがわかる。
フロントシートはそれに比べれば低めで、こちらは最近の他のマツダ車の空間づくりに近い。ただデザインやカラーは、機能主義的だったマツダ3と比べると曲線を多用したり、全車2トーンカラーとしたり、贅沢な仕立てになっている。
筆者が乗ったのはディーゼルターボ前輪駆動とガソリンAWDの、どちらもAT。ひとことで表せばトルクのディーゼル、レスポンスのガソリンという感触だった。ディーゼルエンジンの反応はおっとりしていて、スポーツモードを用意するガソリンのほうが、リニアな反応が得られやすい。
乗り心地はCX-3やマツダ3よりストローク感があってまろやか。とくにディーゼルでその傾向が強かった。ただし段差や継ぎ目を伝えやすいところは変わらない。ディーゼルは少し前のマツダ車のように、切った瞬間に重さを感じることはなくなった。過渡特性を重視したチューニングのおかげだろう。
もうひとつ注目したいのは価格だ。優れたパッケージングとこだわりのインテリアデザインを持ちながら、価格はガソリン前輪駆動なら239万2500円からと、同じエンジン・駆動方式のCX-3より20万円以上高いものの、逆にマツダ3ファストバックよりは10万円以上安い。
最近のマツダは値付けが強気と思っている人も、CX-30については違う印象を持つ人が多いのではないだろうか。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★
森口将之|モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト
1962年東京都生まれ。自動車専門誌の編集部を経て1993年に独立。雑誌、インターネット、ラジオなどで活動。ヨーロッパ車、なかでもフランス車を得 意とし、カテゴリーではコンパクトカーや商用車など生活に根づいた車種を好む。趣味の乗り物である旧車の解説や試乗も多く担当する。また自動車以外の交通 事情やまちづくりなども精力的に取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。
【マツダ CX-30 新型試乗】「マツダは値付けが強気」と思っている人も印象が変わる…森口将之
2019年12月07日(土) 20時00分
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