鈴鹿サーキットで開催を迎えた2019年F1日本GP。その数日前にレッドブル・ホンダの若きエース、マックス・フェルスタッペンはホンダF1“第1期”のマシンである1965年型「RA272」を佐藤琢磨とともにドライブしていた。
栃木にあるホンダの“プルービンググラウンド”に用意されたのは新旧2台のF1マシン。1台は現代の、といっても日進月歩のF1マシンとしては既に旧型の部類ともいえる2011年型レッドブルRB7とされる。2.4リットルV8エンジン時代のマシンだ(*レッドブルがホンダ=第4期活動中=と組んだのは今季2019年から)。
そしてもう1台が、ホンダの第1期挑戦車、参戦2年目の1965年型マシン「RA272」である。車体もエンジンも名はホンダ、いわば“ホンダ・ホンダ”のマシンで、搭載エンジンは1.5リットルV12。RA272はホンダがF1初優勝を成し遂げたマシンで、それにホンダF1の最新ウイニングドライバーであるマックス・フェルスタッペンが搭乗。次世代のチャンピオン候補である22歳と、半世紀以上も前のマシンとの超時空コラボである。
(*今回走行したRA272のカーナンバー「12」とドライバーネームはロニー・バックナム選手のもの。65年メキシコGPでホンダがF1初優勝した際の車番は「11」で、ドライバーはリッチー・ギンサー選手だった。なお、同GPではバックナム選手も5位に入っている)
「これまでに僕がドライブしたマシンは、古くても2008年くらいまでのものだった」というフェルスタッペン、Hパターンのシフト操作にも慣れていない彼の指南役は佐藤琢磨である。2017年のインディ500ウイナーである琢磨はフェルスタッペンにとってホンダの大先輩だが、もちろんRA272の時代は琢磨にとっても生まれる前の“大過去”。ただ、彼はこれまでにもイベント等でクラシックF1マシンのドライブを担当してきている。
ホンダF1エンジン(パワーユニット)の通算勝利数は、2019年日本GP前の時点で74。その1勝目を実現した型のマシン&エンジンと、73、74勝目を今季マークした若きドライバーの邂逅。それを日本人初のインディ500優勝を成し遂げた現役レジェンドがサポートし、ニア現代F1マシンとのランデブー走行も実施された。フェルスタッペンにとっては鈴鹿臨戦前の“いい仕事”になったようである。
ちなみにマックスの父ヨス・フェルスタッペンも1990年代〜2000年代前半に活躍したF1レーサーだが、彼はホンダがオールホンダ(ホンダ・ホンダ)での第3期F1活動開始を目指した時期に、テスト車のドライバーを務めた人物(*テスト車はダラーラ社と共作したかたちの「RA099」、無限の3リットルV10を搭載したとされる。なお、このときのホンダはエンジン供給者として第3期実戦参戦を2000年から開始した)。ヨスはF1実戦でのホンダとの縁こそなかったが、フェルスタッペン家とホンダには浅からぬ縁があるのかもしれない。
【F1】次代の王者候補フェルスタッペン、1965年型のホンダF1マシン「RA272」を佐藤琢磨とともにドライブ
2019年10月11日(金) 10時02分
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