吉野彰氏《photo (c) Getty Images》

気になるニュース・気になる内幕。今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析する新聞ウォッチ。…………

スウェーデン王立科学アカデミーから贈られるノーベル化学賞といえば、一般人にはなかなか理解しにくい難しい研究が多かった。だが、2019年のノーベル化学賞は、スマートフォンやノートパソコン、さらに、電気自動車などに広く使われているリチウムイオン電池を開発した旭化成の吉野彰・名誉フェローら3人に贈られることになった。

きょうの各紙はすべて1面トップで「吉野氏ノーベル賞」を報じているほか、関連記事として「電池ビジネス急拡大」(朝日)、「モバイル革命の原動力」(毎日)、さらに「モバイル社会電池革命、需要拡大市場5兆円」(産経)などと、リチウム電池が、半導体や液晶などと並んで電子機器の心臓部の役割を果たし、私たちの生活に欠かせない存在となっていることを伝えている。

ノーベル化学賞が決まった吉野氏は1948年、大阪府吹田市生まれの71歳。京都大工学部から大学院に進み、72年修士課程修了後、旭化成に入社する。イオン二次電池事業グループ長、電池材料事業開発室長、顧問などを経て、2017年10月から同社名誉フェローに就任している。81年ごろから携帯用の家電などに搭載する小型充電池の開発に着手していたという。

もっとも、吉野氏は「当初は専らビデオカメラへの採用を想定していた」として「ここまで用途が広がるとは思ってもみなかった」と驚きを見せていたそうだ。

それにしても、きょう各紙の1面は「ノーベル化学賞」の横のサブトップには「関電会長ら辞任発表」の記事。厳しい批判にさらされてからの辞任のようだが、言い訳がましい発言を聞くだけでも情けないの一言である。

2019年10月10日付


●吉野氏ノーベル賞,化学賞、リチウムイオン電池開発(読売・1面)

●関電会長・社長辞任、金品受領、副社長ら4人も(読売・1面)

●日産折衷案の3人体制(読売・9面)

●トヨタ一時金満額回答で妥結(読売・9面)

●五輪選手村自動運転でらくらく、トヨタ、大型電気自動車を公開(朝日・6面)

●電池ビジネス急拡大、日本メーカーがけん引競争激化(朝日・7面)

●日産次期COO・グプタ氏「チャレンジしていく」(産経・8面)

●ルノー、CEO交代検討、現地報道(産経・8面)

●大型台風19号、12日上陸か、JR東など計画運休可能性(東京・28面)

●トヨタなど8社、新団体、自動運転技術標準化目指す(日経・13面)

トヨタe-Palette(東京2020オリンピック・パラリンピック仕様)《撮影 安藤貴史》