検知している様子《撮影 二城利月》

ヴァレオジャパンは5月22日よりパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展2019横浜」に先駆け、同イベントで展示予定の「幼児置き去り検知システム」のデモンストレーションを行った。

「幼児置き去り検知システム」はレーダーセンサーを用いて、座席にいる乗員を検知するシステム。温度や動きを測定することで、車内の子供の位置や状態を把握する仕組みだ。レーダーを用いることで、カメラでは見えない毛布やチャイルドシードのフードの中なども把握できるほか、呼吸による微小な動きを検知することで、人か物かの判別を高精度で行うことができる。

今回のデモンストレーションで用いられたプロトタイプレーダーは、105×85×12mmと小型かつ薄型で、ルーフパネルとルーフトリム間に設置する仕様となっていた。車内に見える形で設置しないといけないカメラと違い、レーダーはある程度物を透過するため、センサーを乗員から見えない場所に設置することで車内のインテリアを阻害しないというメリットもある。

デモンストレーションでは、このセンサーが近年増加傾向にあるペットの熱中症対策にもなるということで、「アニコム先進医療研究所」協力のもと、1匹の犬がテスターとしてシステムを体験してくれた。まずはそのまま後部座席に乗り込んでもらうと、センサーが生物を感知。イメージとして用意されたPCモニターにしっかりと表示されていた。

続けてプラスチックのケージに入れた状態や、そこからさらに毛布を掛けた状態でもデモが行われ、そのどちらでも問題なく犬の位置を把握し続けていた。

担当者いわくレーダーを利用する都合上、金属でできたケージなどは難しいようだが、チャイルドシートならば上面をフードで覆ってもまったく問題ないという。また課題として、現在はあくまで生物の検知を行うのみとなっており、いずれは大人や子供を判別したり、場所の感知精度を上げていきたいと語っていた。

このシステムはあくまで乗員の検知を行うのみだが、例えば冷暖房システムとリンクさせることで車内の空調を適宜調整したりと、様々な用途に用いることができそうだ。

ヨーロッパの自動車安全テスト「Euro-NCAP」では車内に置き去りにされた子供を検知するシステムを2022年より安全評価の対象に加えることがすでに発表されており、今回の「幼児置き去り検知システム」もそれに間に合うよう2022年に量産予定の見込みだ。

冒頭でも述べた通り、ヴァレオジャパンは「人とくるまのテクノロジー展2019横浜」にて、車内をイメージしたセットにて本システムの実演を行う予定となっている。

ケージに毛布をかぶせた状態でも検知。《撮影 二城利月》 センサー外観《撮影 二城利月》 検知イメージ《撮影 二城利月》 ケージの犬《撮影 二城利月》 ケージの犬を検知《撮影 二城利月》 窓の犬《撮影 二城利月》 窓の犬を検知《撮影 二城利月》 取り付けイメージ《撮影 二城利月》 テスト車両《撮影 二城利月》