記者会見するホンダの八郷社長 (c) Getty Images

気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析する新聞ウォッチ。

「ホンダが英南部のスウィンドン工場を閉鎖する」との報道を受けた形で、ホンダの八郷隆弘社長が急きょ、2月19日午後5時から東京・青山の本社で記者会見を開いたことから、きょうの各紙も「ホンダ欧州生産撤退」の記事を大きく取り上げている。

きょうの朝日と産経が1面トップで報じたほか、「企業『英国離れ』加速」(読売)などと、欧州連合(EU)からの離脱を巡る混乱が続く英国の経済が不透明感を増していることからも、撤退を表明する企業が相次いでいるなどと関連した記事も際立つ。

ただ、八郷社長は会見で、離脱問題の影響については「(撤退には)考慮していない」と否定。「合意なき離脱」とは無関係を重ねて強調した。読売などが伝えているが「欧州でシビックや今後成長が期待される電気自動車など電動車を生産しても競争力を維持できないと判断した」のが理由だとしている。

英工場撤退の話題はともかく、この日、ホンダでは二輪と四輪事業の組織体制の変更と、4月1日付の役員・幹部クラスの新しい人事異動も発表した。日経などが取り上げているが、二輪では研究開発子会社である本田技術研究所の二輪R&Dセンターをホンダ本体の二輪事業本部に機能統合。四輪では新たなモビリティー(移動体)ビジネスを検討するモビリティサービス事業部を設置するという。

また、役員人事では、丸4年となる八郷社長は続投するが、本田技術研究所社長には、専務執行役員の松本宣之社長が退任し、後任には同副社長の三部敏宏常務執行役員が昇格。空席だったホンダの会長職には北米地域本部長として北米事業を統括する神子柴寿昭専務取締役が就任する。

ホンダの会長職は、輪番制で日本自動車工業会の会長も務めるのが慣例となっており、2020年5月に任期を迎える豊田章男会長(トヨタ自動車社長)の後任として、次期会長に就任する可能性もある。だが、自工会会長職は「代表権」を持つのが原則であり、目下、代表権は、八郷社長と倉石誠司副社長の2人だけで、神子柴氏には6月開催予定の定時株主総会後の人事でも代表権は付与されておらず、自工会次期会長は流動的とみられる。

2019年2月20日付

●ホンダ英の生産撤退、21年中に、欧州シェア低迷(読売・1面)

●企業「英国離れ」加速、車生産停止・本社、国外へ、合意なき離脱不透明感(読売・3面)

●二輪ホンダ本体で開発へ、技術研から統合、中・印と競争激化(朝日・7面)

●社外取締役過半数に、日産有識者委、提言へ(朝日・7面)

●人手不足解消シニアが鍵、トヨタ定年後再雇用年収増(毎日・7面)

●EU離脱「関係ない」ホンダ社長慎重発言に終始(産経・10面)

●羽田への運賃引き下げ、京急、10月から90-120円(東京・3面)

●トヨタ、値上げ受け入れ、特殊鋼部品会社の収益改善へ(日経・15面)

●静岡経済特集,独創技術で世界つかめ、スズキやヤマハ発、ブランド磨き成長加速
(日経・30面)

●日野自、5万台リコール(日経・38面)

ホンダ (c) Getty Images 本田技術研究所 二輪R&Dセンター