三菱自動車の益子修会長兼CEO《撮影 山田清志》

三菱自動車は2月1日、2018年度第3四半期決算を発表した。それによると、売上高が1兆7940億円(前年同期比18.2%増)、営業利益が850億円(同31.7%増)、純利益が691億円(同1.3%減)だった。

その会見ではやはり仏ルノー・日産自動車とのアライアンスに関する質問が続出した。まず益子修会長兼CEOはアライアンスについての考え方を説明した。

「2016年5月に日産自動車と業務資本提携を発表したが、短期間で結論を出すことができたのは、ルノー・日産アライアンスの基本原則に共感できたことがあったから」

その基本原則とは、ここのメンバーの経営、ブランド、個性を尊重して、独立性、自主性が担保されていること。最もコンペティティブなメンバーが、その分野と地域でアライアンスをリードして、徹底的に重複を排除するという考え方。関連するすべてのアライアンスメンバーにとってウィンウィンとなるようにプロジェクトを推進すること。

しかし、カルロス・ゴーン前会長の逮捕以降、ルノーと日産の綱引きが始まり、両社はお互いに疑心暗鬼になった場面も見られた。アライアンスへの参加が経営問題を解決する最良のソリューションであると考えている三菱自動車にとって、両社の権力争いはゆゆしき事態と言っても過言ではない。

「改めてアライアンスの目的、狙い、必要性を考えて、アライアンスメンバーが価値観を同じくして、前に進むことが重要である」と強調し、こう続けた。

「アライアンスパートナーがお互いをリスペクトし、対等、平等の精神で仕事に取り組むことが必要だと考えている。現在われわれが直面する課題は非常に多く多岐にわたっている。1社ですべての課題に対処するのは現実的ではない。信頼できるパートナーが必要だ。とりわけ規模の小さい私どもの会社は、アライアンスの力を有効に活用していくことが不可欠だと考えている」

そして、三菱自動車は2社にサポートしてもらうだけでなく、今後はアライアンスをウィンウィンにするために、三菱自動車が強みを持っている地域と商品でアライアンスメンバーに貢献していく方針だという。

「持ち株会社の話については、聞いていない」と益子CEOは話しているが、その存在感はアライアンスメンバーの中で今後増していきそうだ。

日産グローバル本社(横浜市) (c) Getty Imajes ルノー・クリオ新型 三菱エクリプスクロス