ゴーン容疑者

帝国データバンクは11月20日、日産自動車カルロス・ゴーン会長の逮捕を受け、同社グループ取引先の調査・分析結果を発表した。

11月19日、東京地検特捜部は日産自動車会長のカルロス・ゴーン氏および同社代表取締役のグレッグ・ケリー氏を金融商品取引法違反の疑いで逮捕。日産自動車は同日の記者会見で2人を解任する方針を明らかにした。ゴーン氏は世界最大規模の自動車グループを率いる「要」だっただけに、各メディアで大きな問題として報道されている。

帝国データバンクは、147万社を収録する企業概要データベース「COSMOS2」の中から、日産自動車をはじめ、国内主要連結子会社16社と直接取引がある取引先を抽出し、社数・従業員数(非正規社員を除く)合計、都道府県別、業種別、年商規模別に調査・分析した。

その結果、日産自動車グループ国内主要企業と取引のある国内企業(個人経営、各種法人等含む)は全国全業種合計で3658社にのぼることが判明した。このうち、日産自動車グループの仕入先・下請先が2703社、同グループの販売先が1127社を数えた(重複あり)。

都道府県別では、「東京都」が1264社を数え、全体の34.6%を占めトップ。2位は横浜工場や追浜工場が所在する「神奈川県」の722社(構成比19.7%)、3位は「愛知県」の256社(同7.0%)が続いた。

業種別に見ると、仕入先・下請先企業では「自動車部分品製造」が102社(同3.8%)でトップ。以下、「ソフト受託開発」(85社、同3.1%)、「産業用電気機器卸」(81社、同3.0%)、「他の事業サービス」(78社、同2.9%)、「労働者派遣業」(70社、同2.6%)の順となった。販売先企業では「自動車(新車)小売」が172社(同15.3%)でトップ。以下、「乗用旅客自動車運送」(127社、同11.3%)、「自動車一般整備」(110社、同9.8%)、「自動車部品付属品卸」(102社、同9.1%)などが上位に名を連ねた。

年商規模別に見ると、「1億〜10億円未満」が1444社(同39.5%)でトップ。「1億円未満」(353社、同9.7%)と合わせて、全体の49.1%が年商規模10億円に満たない中小企業であることが分かった。他方「100億〜500億円未満」(408社、同11.2%)、「500億〜1000億円未満」(95社、同2.6%)、「1000億円以上」(153社、同4.2%)などの「100億円以上」の取引先は全体の2割弱を占めている。

一連の完成検査問題で日産ブランドに対する信用が低下している中、カリスマ経営者の逮捕は、国内外におけるグループの経営や体制に大きな打撃となることに加え、ブランド力の低下による今後の販売面への影響も懸念される。帝国データバンクでは、2703社の仕入先・下請先を含む、サプライチェーンへの影響は必至であり、特に日産自動車への取引依存度が高い中小企業にとっては、死活問題となりかねず、中期的な影響を注視する必要があるとしている。

日産本社そばで待機する報道陣(20日、横浜市)。 (c) Getty Images