国土交通省《撮影 高木啓》

気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。


2018年10月23日付

●雇用70歳まで継続、首相表明、20年に法案(読売・1面)

●車部品規模拡大で対抗、欧州事業8000億円買収、カルソニックカンセイ売上高2兆円(読売・8面)

●友好条約40年、中国日本企業へ秋波(読売・8面)

●MRJ開発また延期懸念、三菱重側をボンバルディア提訴(朝日・6面)

●脱線「速度超過が原因」台湾現地報道、ブレーキ異常か(朝日・9面)

●ソフトバンク株下落、サウジ記者事件が影響、今月約2割(毎日・7面)

●障害者水増し「恣意的」 国の28機関3700人不適切(産経・1面)

●「乗客が拳銃所持」実は警官、東海道新幹線運転一時見合わせ騒ぎ(東京・25面)

●TPP11、1月中旬にも発効(日経・1面)

●東南アジア、車の保護主義連鎖、非関税障壁インドネシア・マレーシアも(日経・8面)

●トラック自動運転で協業、いすゞ、エヌビディアと(日経・12面)

●アルプス・アルパインの統合、カギ握るエリオット(日経・15面)


ひとくちコメント

笑いごとではないが、「不適切」とか「ずさん」、「数合わせ」。さらに「ルール無視」や「水増し低い規範意識」、「意図的ではなかった」などの見出しを眺めているうちに、またまた、あの完成車の検査不正問題が発覚したのではないかと勘違いするほどだった。

中央省庁が雇用する障害者を水増ししていた問題を調査していた第三者検証委員会が、2017年6月1日時点で、不正に3700人を障害者として計上していたとする報告書を発表した。

それによると、報告書は「大規模な不適切計上が長年にわたって継続するに至った」と結論付けて、「法定雇用率(当時2.3%)を充足するため、恣意的で不適切な基準を用いた」と認定。障害者雇用に対する意識が低く、ルールを無視したずさんな運用を少なくとも20年以上続けていた実態が明らかになった。

きょうの各紙も、朝日、毎日、産経の3紙が1面トップで「障害者水増し『恣意的』、国の28機関3700人不適切」などのタイトルで大きく報じたほか、各紙も1面や社説のテーマとしても取り上げている。

不適切計上が多かった主な行政機関は、トップが国税庁の1103人、次いで国土交通省が629人、法務省が512人などと続く。さらに、検査委員会が指摘したずさんな不適切計上の例としては、国税庁は「うつ病などの精神疾患を身体障害として多数計上」。国交省は「死者を含め退職者を長年にわたり漫然と多数計上」。中には約10年前に退職したケースもあったそうだ。

このうち、国交省といえば、資格のない従業員に完成車両の検査をさせていた問題や排ガス検査データ改ざんなどで、トヨタ自動車とホンダを除く大手自動車メーカーに対しては「極めて遺憾だ」(石井国交相)と怒り心頭。法令順守意識の徹底と防止対策についての行政指導を行っていたが、中央官庁の障害者雇用水増し問題は、その言葉をそっくりお返ししたいほどの悪質な不正計上ではないだろうか。