GT500のポールを獲得した#8 NSX。《撮影 益田和久》

20日、大分県のオートポリスでSUPER GT第7戦の公式予選が行なわれ、GT500クラスはホンダNSX勢の1-2-3独占となった。ポールポジションはARTAの野尻智紀&伊沢拓也。GT300クラスのポールはHOPPY 86 MCの松井孝允&坪井翔が獲得している。

このラウンドを含めて残り2戦、2018年のSUPER GTも大詰めを迎えた。前戦までは獲得ドライバーズポイント×2kgの計算だったウエイトハンデが、今回は原則として×1kgになる(最終戦は原則としてノーハンデ)。ハンデ差が詰まることになり、また新たな戦局の動きが生じる可能性もあるラウンドだ。予選日の天候は曇り〜晴れ、ドライコンディションに恵まれた。

GT500クラス(出走15台)では、中高速コーナー主体のオートポリスに適性が合うとの下馬評があったホンダNSX勢が、予想以上ともいえる圧倒的な速さを示し、予選Q1では参戦5台がすべてQ2進出(トップ8入り)を達成。そしてQ2で1-2-3独占を果たした。

ポール獲得は#8 ARTA NSX-GT(野尻智紀&伊沢拓也/タイヤはブリヂストン=BS)、2位に#17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大&小暮卓史/BS)が続き、3位には#100 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴&J.バトン/BS)。3台のBS装着NSXがその3台で1-2-3を占めたという予選結果でもあった。

しかもこの3台はいずれもドライバーズポイントランキング上位、つまりハンデが(×1kgになったとはいえ)重めなのだ。#8がシリーズ2位、#17がシリーズ4位、そしてシリーズ首位の#100に至っては今戦で唯一、燃料リストリクターによるハンデの一部振りかえ調整対象になっている車両でもある。予選でのBS装着NSX勢の速さはまさに異次元だった。予選4位の#36 au TOM'S LC500(中嶋一貴&関口雄飛/BS)でも、Q2で#8 NSXに1秒以上も離されている(ポールタイムは1分31秒441)。

#8 NSX 野尻智紀のコメント
「予選Q1を走った伊沢選手がクルマの状況をチームにしっかり伝えてくれて(チームも的確に対応)、僕へのアドバイスもすごく力になりました(効果的でした)。チームもいい仕事をしてくれましたし、ホンダもいいクルマとエンジンを用意してくれました。Q2の自分のアタックではしっかり1周、いいバランスのまま走りきれましたからね。自分としても手応えのあるアタックでした」

#8 NSX 伊沢拓也のコメント
「(決勝2位だった前戦)SUGOのときもそうでしたが、サーキットに来るまでは(ハンデのこともあるので)不安もあり、ここまでの順位が獲れるとは思っていなかったです。朝の練習走行の走り出しも思っていたよりバランスが良くなかったんですけど、最後のクラス専有走行時間帯になっていい方向にいったので、これはチャンスが来たかな、と感じてはいました。チャンピオン争いをしているなかで、こういういいパフォーマンスを出せて良かったです」

予選はNSXの圧勝だった。しかし、野尻も伊沢も「ここはタイヤの面などで、レースが難しいコース」と、決勝に向けて兜の緒を締め直している。決勝レースもNSX勢が席巻して、最終戦を前にタイトル争いをホンダの身内の争いに収束させるのか、あるいは他メーカーの逆襲か。楽しみな決勝になりそうである。

GT500クラスの予選4〜5位はレクサス勢。4位の#36 LC500に続く5位は、現在シリーズ3位の#1 KeePer TOM'S LC500(平川亮&N.キャシディ/BS)。予選6〜7位はホンダ勢で、#16 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀&中嶋大祐/ヨコハマ=YH)、#64 Epson Modulo NSX-GT(B.バゲット&松浦孝亮/ダンロップ=DL)の順。

ニッサン勢はQ1で全滅を喫し、11-13-14-15位と厳しい予選結果だった。最上位の11位は#12 カルソニック IMPUL GT-R(佐々木大樹&J.マーデンボロー/BS)。

GT300クラス(出走29台)では、昨年のオートポリス戦ポール・トゥ・ウイン陣営の#25 HOPPY 86 MC(松井孝允&坪井翔/YH)がポールポジションを獲得した(昨年のドライバーは松井&山下健太)。渋滞や赤旗中断で「ストレスがたまる展開でした」というQ1を松井が突破し、今年の全日本F3王者・坪井がQ2でポールアタックを決めている。「しっかりアタックできて、ポールが獲れたことは素直に嬉しいです。そういうアタックができるクルマをつくってくれたチームに感謝です」(坪井)。

GT300クラスの予選2〜6位は以下の通り。なお、シリーズ首位でハンデ52kgの#55 ARTA BMW M6 GT3(高木真一&S.ウォーキンショー/BS)は予選22位。

2位 #10 GAINER TANAX triple a GT-R(星野一樹&吉田広樹/YH)
3位 #5 マッハ車検 MC86 Y's distraction(坂口夏月&平木湧也/YH)
4位 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人&山内英輝/DL)
5位 #0 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝&片岡龍也/YH)
6位 #52 埼玉トヨペットGreenBraveマークX MC(番場琢&脇阪薫一/YH)

決勝300kmレース(65周)は明日(21日)の午後2時にパレードラップ開始予定。引き続き安定した気候条件が予想されるなか、シリーズ大詰め“ラスト前”ならではの熾烈な攻防戦が随所で展開されそうだ。

#8 NSXの(左から)伊沢、鈴木亜久里監督、野尻。《撮影 益田和久》 ポール獲得を決めて喜ぶ野尻、亜久里監督と握手。《撮影 益田和久》 GT300のポールを獲得した#25 HOPPY 86 MC。《撮影 益田和久》 #25の(左から)坪井、土屋武士監督、松井。《撮影 益田和久》 GT500クラス予選2位の#17 NSX。《撮影 益田和久》 GT500クラス予選3位の#100 NSX。《撮影 益田和久》 GT500クラス予選4位の#36 LC500。《撮影 益田和久》 GT500クラス予選5位の#1 LC500。《撮影 益田和久》 GT500クラス予選11位の#12 GT-R。《撮影 益田和久》 GT300クラス予選2位の#10 GT-R。《撮影 益田和久》 GT300クラス予選3位の#5 TEAM MACH。《撮影 益田和久》 GT300クラス予選4位の#61 BRZ。《撮影 益田和久》 GT300クラス予選5位の#0 メルセデス。《撮影 益田和久》 GT300クラス予選6位の#52 マークX MC。《撮影 益田和久》 明日の決勝でもGT500クラスのNSX勢は猛威をふるうのか。《撮影 益田和久》