ヤマハワールドテクニシャングランプリ2018《撮影 阿部哲也》

10月17日(水)、ヤマハ発動機本社(静岡県磐田市)で、世界のヤマハディーラーのメカニックが技術を競う「ヤマハワールドテクニシャングランプリ2018」が開催。世界19の国・地域から集まった21名の選手が参加した。

ヤマハワールドテクニシャングランプリは、2002年から開催され、今回で8回目を数える。大会に参加するのはヤマハの世界統一基準による整備士教育プログラム「YTA(ヤマハ・テクニカル・アカデミー)」に合格した認定整備士で、世界3万4000人(2018年現在)の整備士の中から選りすぐられた21名で世界一が争われた。

本大会は、2つの競技、「故障診断競技」と「お客様対応競技」で技術を競う。また、世界の市場ごとにポピュラーなモデルが異なることから、日本を含む先進国がスポーツモデルクラス(MT-09)、アジア・アセアンなどの新興国がコミュータークラス(YZF-R25/R3)に分かれており、それぞれのクラスで世界一を決定する。

故障診断競技は、選手にはトラブルを抱えた車両が与えられ、修理をするというもの。もちろん選手に故障箇所は伝えられておらず、選手は故障診断ツールなどを使用し、故障箇所を特定、修理しなければならない。ちなみに今回は全車共通でECUに不具合が仕掛けられており、そこを特定し、エンジンを始動するというのが大きな課題だ。

他にも車両全体に整備不良箇所があり、選手はリストに従って各部を点検し、不具合があれば都度修理し、完成検査までを完了しなければならない。なお、故障診断競技に与えられた時間は80分。採点は100点が与えられるが、ただ時間内で修理すればいいのではなく、手際よく安全に作業ができるか、迅速かつ的確に故障診断できるか、工具、機器の取り扱いは正確か、お客様の車両を丁寧に扱えるかも採点ポイントとなる。

2つ目の競技は「お客様対応競技」で、選手はお客様に扮した審査員に点検結果の説明や今車両を使用する上でのアドバイス、質疑応答などを行う。ここでもただマニュアル通りにお客様対応を進めるのではなく、身だしなみや言葉遣い、わかりやすい説明なども採点される。日常業務と同じく、懇切丁寧な対応ができるかがポイント。競技時間は準備時間を含めた30分。採点は100点だ。

競技が始まると、各選手ともにこれまで蓄積したスキルを存分に発揮し臨んだ。故障診断競技では、各選手の整備の手順の違いなどが見られて興味深い。お客様対応競技でも、お客様を握手で迎えたりお辞儀で迎えたりと、その国の文化の違いが現れた。

ちなみに日本からは井口友臣さん(袖ヶ浦ホンダ)が日本代表として参加。故障診断競技ではエンジンの故障箇所の特定に苦労していたようだが、競技時間残り約25分で始動に成功。その後も手際よく点検業務を進め、競技を終えた。

全ての競技を終え世界一に輝いたのは、スポーツクラスがBrett TR Hartさん(カナダ)、コミュータークラスがWu Chang Weiさん(台湾)。表彰式では、世界一に立てた嬉しさ涙を浮かべる姿も。

また、競技中、お客様やオートバイ、工具に対するエチケットやマナーで判定される特別賞「CS賞」には、スポーツクラスでJeremy Leigh Talleyさん(米国)、コミュータークラスでSaurabh Kushwahaさんが選ばれた。

ちなみに日本代表の井口さんは惜しくも入賞ならず。しかし「自分の力を出し切れたので満足しています」とコメントを残している。

表彰を行ったのは、ヤマハ発動機の日高祥博代表取締役社長執行役員。日高社長は「選手の皆さんにはこの経験を持ち帰り、それぞれの場所でヤマハテクニシャンの目標となり、ヤマハファンを増やしていただけることを期待している」と選手たちに伝えた。次回の大会は2年後の2020年に開催予定。果たしてどの国の選手が世界一となるか、注目だ。

<選手コメント>
スポーツクラス優勝…Brett TR Hartさん(カナダ)
「夢がなかって嬉しいです。一生懸命競技に取り組み、自分の力を出せたのですが、まわりの強豪選手だらけなので、結果が出るまでは気が緩みませんでした。ヤマハはこういったチャンスを与えてくれるので、世界中のメカニックもこれを目指して頑張って欲しいです」

コミュータークラス優勝…Wu Chang Weiさん(台湾)
「小さい頃から父親とともにバイクを勉強してきました。その小さい積み重ねが、今回の結果につながったと思います。もし今後この大会を目指すヤマハテクニシャンがいたら、普段からの努力を大切にしてください。最後に、父、母に加えて、僕を応援してくれた全ての人に感謝しています」

井口友臣さん(日本)
「入賞はできませんでしたが、自分の力を出し切れたので満足しています。また、世界中のヤマハテクニシャンと本気で競えたのもいい経験になりました。メカニックは裏方の存在ですが、こういう大会で頑張れば表に立てます。そのためには、日常業務に一生懸命に取り組むことが大切です」

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