VW ゴルフ トゥーラン TDI Highline《撮影 島崎七生人》

文化の違い……などと、大上段に構えて熱弁を振るうつもりはない。が、後席モニターやUSBソケットの数より、この走りの安心感だよなぁ……と、試乗のたびにいつも思わせられるのが、この『ゴルフトゥーラン』だ。

現行モデルに切り替わったのは2016年1月だったが、今回のニュースは、満を持してTDIエンジン(ディーゼル)が追加された点。搭載されるのは2リットルディーゼルターボで、これにおなじみのクラッチペダルレス6速DSGを組み合わせ、150ps/34.7kgmの性能、19.3km/リットルの燃費(JC08モード)を発揮する。グレードはタイヤサイズ、装備差による2グレードの設定だ。

◆普通に運転して“しっかり力強い”


何はともあれ、試乗車で走り出してみる。すると理屈抜きで言えるのは、走りっぷりが実にスムースで心地いいということだ。とくに注目のディーゼルエンジンは、走行中の室内で感じる(はずの)音と振動がきわめて低く、とくに音は、何か特定の音が気になることもなく、総じて静かなのがいい。もちろんアクセルの踏み込み加減(エンジン回転)にかかわらず、静かさの度合いは変化しない……といっていいほどだ。

パワーフィールも十分。おそらく誰でも自分の普通の運転のしかたで走らせて“しっかり力強い”と実感できるはず。走行モードは切り替えられ、ノーマルでも問題ないが、スポーツに切り替えると、ステアリングフィールの落ち着きがさらに増し、悪くないと思った。

◆ファミリーカーの本質


しなやかな乗り味は相変わらず。山中湖をひと回りする同じルートは、個人的には先代の最終モデルでも試乗した経験があり、先代のしなやかな身のこなしに感銘を覚えたものだが、わずかにボディサイズの違う最新モデルでもその印象は変わらない。思い通りに舵が効き、挙動、荷重移動も穏やかなので、ファミリーのドライブで運転手も乗員も無用なストレスを感じずに済む。

2列目シートはフカッ!としたクッションで座り心地がいい。3列目はスペースこそ最小限だが、5人以内のファミリーなら、3列目を畳んでおくのを“デフォ”にし、使い勝手のラゲッジスペースをフル活用するといい。バックドアには力要らずの電動開閉機構が付いていた。

ファミリーカーの本質、だと思う。多用途に使え、実用的で、扱いやすく、何より安心感のある走り。それが今回、ディーゼルを加え日々の経済性もよりポテンシャルを高めたのだから、これはもう言うことなし、だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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