BMW『i3』とビー・エム・ダブリューの田中克昌氏《撮影 山田清志》

独BMWの日本法人、ビー・エム・ダブリューは9月25日、テレビ通販最大手、ジュピターショップチャンネルが運営する「ショップチャンネル」でプレミアム電気自動車(EV)『i3』(BMW i3)を販売すると発表した。

東京・新川にあるジュピターショップチャンネルの本社で行われた会見で、ビー・エム・ダブリューの営業ディビジョン担当マネージャーの京谷麻矢氏は「これまで競合プレミアムブランドが全く取り組んだことのない新しい試み」と語り、こう続ける。

「ショップチャンネルで販売することになったのには3つの理由があります。1つ目はショップチャンネルが国内最大手のテレビ通販会社であること。2つ目がショップチャンネルのお客さまがBMW『i3』の購入層に限りなくマッチしているということ。そして3つ目がショップチャンネルが掲げる企業理念『心躍る瞬間』とBMWのスローガンである『駆け抜ける喜び』に共通点があり、『i3』がその心躍る瞬間をお客さまに提供できる商品であることを確信しているからです」

もちろんBMWにとって、テレビ通販で新車を販売することはグローバルでも初めてこと。ただ、同社はこれまでディーラー以外での販売も行ってきた。15年には米アマゾン・ドット・コムの電子(EC)サイトでiシリーズを販売。17年には自社のECサイトや会員制の大型店舗コストコでもiシリーズを販売してきた。

「リーテルの現場において、お店に行ってものを買うというのは昔の話で、オンラインストアとか、テレビ通販などさまざまなリーテルの形があっていいと思う。そういったことにチャレンジすることが革新的なイメージや先進性といったイメージにつながると理解している」と京谷氏は説明する。

今回ショップチャンネルで販売するi3は、スペシャルオファーを付与した「Atelierレンジ・エクステンダー装備車」で、走行中にエンジンが電力を発電するので航続距離が500km以上とのことだ。カラーは紺、赤、白の3色で、10台限定。価格と特典については番組で明らかにするそうだが、現在、店舗で販売しているオプション込みの車両価格は638万9000円。「非常に魅力的な価格になる」(京谷氏)そうだ。

その番組は11月24日10〜11時に生放送で、ビー・エム・ダブリューのiシリーズのトップセールスマン、田中克昌氏が行う。ターゲットユーザーは50〜60歳代の高収入夫婦の奥さまで、2台目需要を狙っている。

ショップチャンネルによると、利用者の中には年間1000万円以上も商品を買う女性がいるそうで、しかも約8割が50歳以上の女性が占めているという。「この10台を売り切って次の話につなげていければと考えている」とジュピターショップチャンネルの井原正登マーチャンダイジング3部統轄は話し、BMWとの今後の展開を期待する。

自動車業界はCASEに代表されるように100年に一度と言われる大変革時代を迎えているが、販売についても今回のことがきっかけに大きな変化が出てくるかもしれない。

ジュピターショップチャンネルの本社で行われた会見の様子。中央がビー・エム・ダブリューの京谷麻矢氏で、左から2人目がジュピターショップチャンネルの井原正登氏《撮影 山田清志》 BMW『i3』《撮影 山田清志》 BMW『i3』《撮影 山田清志》