マツダ 人見光夫常務執行役員《撮影 池原照雄》

マツダの人見光夫常務執行役員(シニア技術開発フェロー)は9月20日、同社が推進しているモデルベース開発(MBD)の説明会を開き、その成果のひとつとして「車両の試作台数は、(以前の開発手法に比べ)4分の1くらいでできるようになった」と指摘した。

MBDはコンピューターのシミュレーションによって車両や部品の開発を行うもので、マツダは2004年から本格導入を進めてきた。現在開発中の車両には、対象の多寡はあるものの「全てに導入」(人見常務)しており、世界の自動車メーカーでは最も導入が進んでいる1社と自認している。

マツダは元々、膨大な開発工数に対する要員不足の対応策として、「CAE(コンピューター・エィディド・エンジニアリング)」を積極導入したことが、MBD開発の拡充につながった。人見常務は「財務が苦しい会社だったのでここまで進んだ。進んだということは貧乏でもあるということ」と話す。

MBDの効果は、膨大な時間や費用を要す部品・車両の試作や、「キャリブレーション」と呼ばれる性能や制御の設定作業を大幅に効率化できることだ。エンジンの例だと同社の試作回数は20年前に4回だったものが、10年前には3回、さらに現在は2回で済むようになったという。またエンジン制御のキャリブレーションが机上(シミュレーション)でできる比率は、1世代前のモデル開発時の25%から現在のモデルでは75%に拡大。さらに、次世代モデルでは95%に引き上げる方針としている。

マツダはトヨタ自動車およびデンソーとともに17年に設立したEV(電気自動車)の開発会社「EVC.A.スピリット」でも、MBDを活用していく。人見常務は「EVは世界で求められるので多くの車種展開が必要であり、MBDを駆使してやっている」と述べた。

マツダ3(アクセラ) マツダ・ロードスター 海外仕様(MX-5 ミアタ) マツダCX-5