国内CNF市場規模の予測《画像 矢野経済研究所》

矢野経済研究所は、2018年のセルロースナノファイバー(CNF)市場を調査し、市場動向、参入企業動向、将来展望をまとめた。

CNFは、植物細胞の根幹を構成するセルロース繊維をナノレベルに解繊したもので、「鉄の1/5の軽さ、鉄の5倍の強度」、「比表面積が大きい」、「熱変形が少なく寸法安定性に優れる」、「植物由来」、「ガスバリア性」といった優れた特性を持つ材料。

2017年の国内のCNF市場は、メーカー出荷ベースで出荷数量が20トン、出荷金額が4億円。2018年の市場は出荷数量が50〜60トン、出荷金額が5億〜6億円になる見込み。

現段階では市販されている製品へのCNF採用例はまだ限定的だが、ユーザー各社とも実際の商品への搭載を前提としてCNFを使用した部品や材料の試作・テストが進められている。

今後の採用拡大が期待される自動車向けでは、2017年から2018年にかけて開催された国内外の展示会でのCNF複合樹脂を使用したドアトリムやインテークマニホールド、トランクパネル、ボンネットなどが相次いで発表された。いずれも試作段階で、樹脂とCNFとの相性や複合のしやすさ、複合樹脂の性能や成形性、コストなど、今後の改良課題も多い。

CNFメーカー各社は、樹脂複合化のためのパウダーグレードや京都プロセスによるCNF複合化マスターバッチなどの開発が進展している。2018年に入り、一部では商業生産も始まっている。

CNFは幅広い用途で採用に向けた検討が進んでおり、2030年には多くの用途で製品出荷が始まることで、2030年の国内CNF市場はメーカー出荷ベースで、出荷数量が5万トン、出荷金額が600億円にまで拡大すると予測する。

大王製紙が展示したCNF複合樹脂を使った自動車部品(エコプロダクツ2017)《撮影 山田清志》