ケイヴァン・カリミ セールス&マーケティング担当上級副社長《撮影 古庄速人》

BlackBerry(ブラックベリー)は17日、車載ソフトウェアのQNXに関する記者説明会を都内で開催。ADAS(先進的運転支援システム)への取り組みを紹介した。

QNXではセキュリティに関する車載用のOSや組み込みソフトウェアなどを展開する。今年6月にはADASをはじめ、インフォテインメントシステムなどの自動車への採用実績が1億2000万台を突破したと発表している。

説明会ではブラックベリー・テクノロジーソリューションズのセールス&マーケティング担当上級副社長のケイヴァン・カリミ氏がADASの現況や、それにたいしてQNXがソフトウェアの観点からどのようなアプローチをしているのか、といったことを説明した。

カリミ氏はADASの取り組みについて、直近の例としてAPTIVや百度(バイドゥ)との連携、ルネサスエレクトロニクスとの協業などを挙げた。また自動走行用プラットフォーム「DRIVE PX」を手がけるNVIDIAからは「ウェイモやいくつものメーカーと協業しているが、ウェイモを除くすべての自動車メーカーやティア1サプライヤーがQNXを採用している」という報告を受けているという。NVIDIAとは「非常にエクスクルーシヴな関係を結んでいます」と語る。

自動運転車の普及については「レベル2、レベル3がメインストリームになってゆくのは2025年以降」というアナリストの予測を紹介しつつ「その前に、ADAS関連のさまざまな機能が市場に出てくることになります」と説明。「2025年にならなければ自動運転の機能が使えないということではなく、それ以前からADASに関連する安全に関わる機能が、まずハイエンド車に搭載されてゆきます」。

カリミ氏はこの流れについて、ABSの普及と浸透を例に挙げているのが興味深い。かつては上級モデルの特別な装備だったものが、現在はあらゆる乗用車に装着が義務づけられるようになっている。「これと同じようなことが、ADASの機能についても起こるだろうと考えられます」とのことだ。

こうした考えに基づき、ブラックベリーではこの6月にADAS用の車載プラットフォーム「QNX Platform for ADAS 2.0」をリリース。これは各種センサーのデータを統合処理でき、自動運転システムの開発や生産を支援するものだ。ISO26262認証済みのOSが使えることや、LinuxやROSなどからの移植が容易であることなどから、カリミ氏は「自動運転車の開発に、もっとも適している」と胸を張る。

またブラックベリーは昨年「現在、1台の車両に100から130ほど搭載している単機能ECUは、10から12程度のドメイン・コントローラーに集約されるだろう」という予測を発表している。

カリミ氏は今回、「ドメイン・コントローラーには、最高のパフォーマンスとセキュリティがなければいけません。わたしたちはなぜ、自分たちのプラットフォームが安全だという自負を持っているのか。それは毎年、4000万を超えるアップデートをおこなっているからです」とのこと。「この実績は、現在の自動車業界に起こっているトレンドにピッタリだと思います」と説明する。

ケイヴァン・カリミ セールス&マーケティング担当上級副社長《撮影 古庄速人》 自動運転は、さまざまなADASが統合されることで実現する QNXのOSやソフトウェアは、バイトンの量産モデルにも全面採用される QNXのOSやソフトウェアは、バイトンの量産モデルにも全面採用される