GT500クラス優勝の#39 LC500。《撮影 益田和久》

7月1日、SUPER GT第4戦決勝がタイのチャン国際サーキットで行なわれ、レクサス勢がGT500クラス1-2-3-4フィニッシュを達成した。優勝はSARDの“F1戦士コンビ”ヘイキ・コバライネン&小林可夢偉で、可夢偉は初優勝。GT300クラスは平中克幸&安田裕信のGT-Rが制している。

決勝300kmレース(66周)はドライコンディションでの戦い。マシントラブルやアクシデントがコース上のみならずピット作業にまつわる部分にも襲いかかるなどタフな展開となるなか、GT500クラスの戦況は予選のそれからは大きく変化していくことになった。

予選では雨上がりの路面も味方にしたのか、ホンダNSX勢が上位に躍進していた。しかし決勝ではレクサスLC500勢が一気に形勢を逆転。終盤、一時は1〜5位を独占するまでの状況にもちこみ、最終的には1-2-3-4フィニッシュでレクサスは今季初勝利をあげる。そして終盤まで3台が僅差で争った首位攻防を勝ち抜いたのは、#39 DENSO KOBELCO SARD LC500(H.コバライネン&小林可夢偉/タイヤはブリヂストン=BS)であった。

レース後半、#39 LC500のステアリングを握っていたのは可夢偉。同じマシン、同じタイヤメーカーのライバルである#6 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也&F.ローゼンクヴィスト/BS)の大嶋、#36 au TOM'S LC500(中嶋一貴&関口雄飛/BS)の関口が次々と迫ってくるのを凌ぎきって、今季からSUPER GTに本格参戦を開始した可夢偉は自身初となるGT500優勝をつかみ取った。

「このサーキットを走るのは今回が初めて。前戦鈴鹿では(自分が乗る前のリタイアで)決勝を走ることがなく、その前の富士は(WECとの日程重複で)欠場していたので、このクルマでレースを走るのも開幕戦の岡山以来でした。そんな状況ですから、正直なところ、ここに来るまで勝てるとは思えませんでした」と可夢偉はコメント、さらに「勝って嬉しいのはもちろんですけど、頑張ってくれたチームとヘイキさん(コバライネン)に感謝したいです」と続けている。

2016年王者であるコバライネンと#39 SARDチームにとっては今季初勝利。これでコバライネンはドライバーズポイントランキング首位に躍り出た(可夢偉は欠場があったため、コバライネンとは獲得総ポイントが異なる)。

#39 LC500と優勝を争った2台のうち、#36 LC500は2番手を走っていた最終周にガス欠と思われる状況でスローダウン、ストップ(10位完走扱い)。2位には#6 LC500が入った。3位に#19 WedsSport ADVAN LC500(国本雄資&山下健太/ヨコハマ=YH)、4位に#38 ZENT CERUMO LC500(立川祐路&石浦宏明/BS)が続き、レクサスは1-2-3-4フィニッシュを達成。昨季の圧倒的な強さから一転、今季ここまでは勝利がなかったLC500勢だが、昨季を思い起こさせるような圧勝をタイで演じた。

5位はポール発進だった#16 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀&中嶋大祐/YH)で、ホンダ勢の最上位フィニッシュ。ランキング首位でこのレースを迎えていた#100 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴&J.バトン/BS)はドライバーズポイント圏外の11位だった。6位に入った#12 カルソニック IMPUL GT-R(佐々木大樹&J.マーデンボロー/BS)が日産勢のトップ。

GT300クラスは#11 GAINER TANAX GT-R(平中克幸&安田裕信/ダンロップ=DL)が優勝。#11 GT-Rはレース前半、#21 Hitotsuyama Audi R8 LMS(R.ライアン&富田竜一郎/DL)と#55 ARTA BMW M6 GT3(高木真一&S.ウォーキンショー/BS)の首位バトルのすぐ後ろ、3番手の位置に虎視眈々という様子で続いていた。そして#21 アウディがピットインからガレージインとなってしまい優勝争いから脱落(不運な接触によるダメージ起因と見られる)、#55 BMWに対してはルーティンピットが後だった#55 BMWのピットアウト時に前へと出ることに成功し、#11 GT-Rは今季初勝利を果たしている。

GT300クラスの決勝2〜6位は以下の通り。

2位 #31 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀&平手晃平/BS)
3位 #60 SYNTIUM LMcorsa RC F GT3(吉本大樹&宮田莉朋/YH)
4位 #65 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹&蒲生尚弥/BS)
5位 #87 リーガルフロンティア ランボルギーニ GT3(佐藤公哉&元嶋佑弥/YH)
6位 #88 マネパ ランボルギーニ GT3(平峰一貴&A.カルダレッリ/YH)

ポール発進の#65 メルセデスが4位。予選後の車検で順位から除外された“ポール同タイム”の#88 ウラカンは22番手発進から6位でフィニッシュした。ワイルドカードで参戦したタイ現地チームのベントレー、#32 est cola by AAS Motorsport(M.ジュース&K.グシリ/ミシュラン=MI)は14位。#55 BMWは終盤、#31 プリウスとの2位争いの最中にタイヤに問題が発生して後退、最終結果は11位だった(タイヤの問題がバトルによる擦過等に起因するものかどうか、別のものかは不明)。

この後SUPER GTは国内戦に戻り、8月4〜5日に富士スピードウェイで第5戦が開催される。今季シリーズでは最長の500マイル(約800km)戦から後半戦突入となる。

GT500クラスの表彰式。《撮影 益田和久》 #39と#6、レクサス同士の戦い。《撮影 益田和久》 GT500クラス決勝2位の#6 LC500。《撮影 益田和久》 GT500クラス決勝3位の#19 LC500。《撮影 益田和久》 GT500クラス決勝4位の#38 LC500。《撮影 益田和久》 GT500ポール発進の#16 NSXは決勝5位。《撮影 益田和久》 GT500クラス決勝6位の#12 GT-R。《撮影 益田和久》 GT500クラス決勝10位の#36 LC500。《撮影 益田和久》 GT300クラス優勝の#11 GT-R。《撮影 益田和久》 GT300クラスの表彰式。《撮影 益田和久》 GT300クラス決勝2位の#31 プリウス。《撮影 益田和久》 GT300クラス決勝3位の#60 RC F。《撮影 益田和久》 GT300クラス決勝4位の#65 メルセデス。《撮影 益田和久》 GT300クラス決勝5位の#87 ウラカン。《撮影 益田和久》 GT300クラス決勝6位の#88 ウラカン。《撮影 益田和久》