VWのEVレーサー、20分以内に充電できる急速チャージャー開発…パイクスピーク2018

フォルクスワーゲンは6月14日、パイクスピーク2018に参戦する新型EVレーシングカー『I.D. Rパイクスピーク』向けに、専用の急速充電システムを開発した、と発表した。

I.D. Rパイクスピークには、市販EV同様、リチウムイオンバッテリーを積む。ただし、モータースポーツ用バッテリーセルには、非常に高い性能が要求される。電力密度は、高電圧を発生する際のシステムにおいて、重要な要素となるためだ。

そのため、I.D. Rパイクスピークでは、市販EVが重視する航続ではなく、パイクスピークの頂上を目指すために可能な限り最大の出力を発生することに重点を置いた。I.D. Rパイクスピークには、モーターを2個搭載。最大出力680hp、最大トルク66.3kgmを引き出す。カーボンファイバー製のボディは、車両重量が1100kg以下。軽量ボディと高性能モーターの組み合わせが、0〜100km/h加速2.25秒の性能を実現する。

必要とされる電気エネルギーの約20%は、パイクスピークのおよそ20kmの走行中に生み出される。ここでカギとなるのが、エネルギー回収。ブレーキング時に発電機として作動する電気モーターが、制動エネルギーの一部を電気に変換して、バッテリーに供給する。

フォルクスワーゲンは、このI.D. Rパイクスピーク向けに、専用の急速充電システムを開発。パイクスピークではレギュレーションにより、EVは20分以内に充電する必要がある。そこでフォルクスワーゲンは、急速充電によってバッテリーが過熱するのを防ぐため、90kWの比較的低い出力で充電を行うシステムを開発。I.D. Rパイクスピークのバッテリーも2個に分割して搭載し、90kWのチャージャー2つで充電する方式を採用した。なおフォルクスワーゲンは、充電用の電力発生装置には、環境に優しく有害物質の出ないグリセリンを使用する、としている。