日産のペイマン・カーガー専務執行役員《撮影 池原照雄》

日産自動車の中東、アフリカおよびインド地域を担当するペイマン・カーガー専務執行役員は6月13日、横浜市の本社で記者会見し、2022年度までの日産の中期経営計画に対応したこの地域での事業方針を明らかにした。

このなかでカーガー専務は、南アフリカやサウジアラビアを中心とする湾岸諸国(6か国)などで販売シェアを着実に拡大させるとともに、事業が停滞しているインドでのテコ入れ策を示した。シェアについては、南アフリカでは17年度実績の10%を22年度には15%へと拡大させる目標を掲げた。17年度の同国の販売実績は前年度比26%増の5万3400台と好調であり、新モデル投入などで勢いを加速させていく。

また、湾岸諸国では同じ期間に16%から20%への伸長を図る。このうちサウジアラビアは7%から14%へと倍増を目指していく。湾岸諸国は17年度のシェアの伸びが同社では最も高いエリアで、収益力やブランド力も安定してきており、「プレゼンスを更に強化し高収益を維持していく」(カーガー専務)構えだ。

一方、現地工場の稼働率が50%程度にとどまり、低迷が続くインドでは車両の電動化推進を好機と捉え、事業の基盤固めを図っていく。インド政府は30年までにすべての新車を電動車両とする方針を打ち出しており、カーガー専務は「日産とダットサンの両ブランドで電動車を投入し、政府をサポートしていきたい」と述べた。

中東、アフリカ、インド地域での17年度の新車総需要は880万台だったが、日産は22年度には約4割増の1210万台規模に拡大すると想定している。同社の17年度のこの地域でのシェアは3.7%(販売は33万台規模)だった。カーガー専務は「大きな潜在力がある地域であり、オペレーションの強化や事業の変革により市場を開拓し、成長をとげていきたい」と強調した。

日産の中期計画は17年度を起点とする6年計画の「M.O.V.E to 2022」。最終の22年度までに連結売上高を16年度実績から約3割多い16兆5000億円に増加させ、コンスタントに営業利益率8%が確保できる体質づくりを目指していく方針だ。

日産パトロール(中近東)