三井化学、オランダにPPコンパウンド工場を建設へ…2020年稼働、年産3万t

三井化学は5月30日、自動車の軽量化に貢献するポリプロピレン(PP)コンパウンドの生産工場をオランダに建設すると発表した。三井化学が欧州にPPコンパウンド工場を構えるのは初めてで、2020年6月の稼働を計画している。

三井化学の淡輪敏社長は同日、都内にある本社で会見し、「当社は残念ながら今までヨーロッパに対してそんなに強みを持っていなかったが、PPコンパウンドもやっと自社設備を持つだけの販売量が見えてきたので、PPコンパウンドの欧州新拠点を設立する。投資金額は50億円程度。生産能力は年間3万tで、2020年6月完成予定で建設に入る。場所はオランダのリンブルグ州」と述べた。

続けて「だいたい2万tの販売を超えてくると自社の設備を持ってやっていけるという採算分岐点になってくると思っている。ほぼ販売量として3万tが見えてきたので、むしろスピードを上げて建設しないと供給量が間に合わない。一時的には委託生産の量を少し増やして販売量を確保するという形を取りながら、2020年6月の完成を目指していく」とも話した。

また淡輪社長は、日産自動車『エクストレイル』のバックドア等に採用されている長繊維ガラス強化PPのモストロン-Lの新たな生産拠点の設立を検討していることも明かした。

淡輪社長は「金属からの代替により30%程度の軽量化が図れるとともに、良外観で塗装レスが可能、部品点数の削減、世界的に人気が高いSUVのデザイン性向上に貢献できる(モストロン-Lの)強みを生かし、アメリカ、中国、日本の3拠点で合計年間1万t程度の設備を立ち上げて供給量を増していきたい」と語った。

さらに淡輪社長はリチウムイオン電池向け部材の生産能力拡充にも意欲を示した。「セパレーター用材料の超高分子量ポリエチレン『ハイゼックスミリオン』は供給能力が一杯いっぱいになってきているので、2018年内に15%の能力増強を果たしていきたい。また電解液は名古屋、中国の寧波にそれぞれ昨年、年間能力5000tの規模で設備を設置しているが、こちらも一杯いっぱいになってきているので、設備の拡充を図っていきたい」とした。

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