千葉大会を終えて記者会見に臨んだ3名。左から2位のマイケル・グーリアン選手、優勝のマット・ホール選手、3位のマルティン・ソンカ選手

3次元レース「レッドブル・エアレース千葉2018」の決勝が5月27日、千葉県立幕張海浜公園で開催され、マット・ホール選手(オーストラリア)が第2戦のカンヌに続く優勝を果たした。この結果、シーズン成績はマイケル・グーリアン選手(アメリカ)と同率1位で並んだ。

決勝レースは、14名のパイロットが1対1の7組に別れて対戦する「ラウンドオブ14」でスタートし、その勝者とベストタイムを記録した8名が「ラウンドオブ8」に進出。その勝者が最後の「ファイナル4」へ進み、タイムアタックで順位を決めた。

ファイナル4に残ったのは、グーリアン選手、マルティン・ソンカ選手、ピート・マクロード選手、ホール選手の4名。最初にアタックしたグーリアンはシケインに苦しみながらも56秒695を記録。続くソンカとマクロードは、共にゲートを通過する際に機体の水平が不足したことで2秒のペナルティを科せられた。この結果、ソンカ選手が58秒443、マクロード選手が58秒639となって優勝争いから脱落。ラストアタックとなったホール選手はミスなくフライトを終え、56秒376を記録して優勝した。

この結果、千葉大会での表彰台に上がったのは、優勝がホール、2位がグーリアン、3位がソンカという結果になった。 一方、母国開催3連覇に期待がかかった室屋義秀選手は「ラウンドオブ14」でDNF(失格)となり敗退となった。

決勝後に記者会見が行なわれ、上位3名(ホール、グーリアン、ソンカ)が登壇し、それぞれ千葉大会でのレースを振り返った。

優勝したホールは、「この日本で優勝できて非常にうれしい。エアレースはチームスポーツで、これまでのレースでチームとしてメンバーが懸命にいろいろなことに取り組んできたことがこの結果につながった。私は飛行機を飛ばすパイロットとしての役割に専念し、その結果、前戦よりさらにいいレースができたと思っている。これまでの壁を乗り超えたということで、これからもチームとしてさらに成長し続け、いい結果を出し続けていきたい」とコメントした。

また、マットは2014年の千葉初戦で、2015年に引退したポール・ボノムに迫る好タイムを出し、2位となっている。その時の経験が今季のチャンピオンシップ獲得へとつながっているのか。これについてホールは、「ボノムには、失敗することでその経験が勝ちにつながるということを教えられた。負けることはもちろん嫌だけれども、負けることで学ぶことはとても多い。2015年は確かに痛い負け方をしたこともあったが、絶対あきらめないという気持ちを持ち続けることも大事と思っている」と語った。

2位のグーリアンはこの日、ベストタイムを記録する活躍を見せたが、この日のフライトについては、「今日は2つの失敗があった。1つはシケインのところでリズムを崩してしまった、やはり風の影響で進入スピードも変わったということで、特に帰りの2度目のシケインでリズムが崩れた。もう1つはバーチカルターン。普段私たちのチームはバーチカルターンを得意としているのに、ここ千葉ではアブダビやカンヌと違ってうまく掴むことができず、タイムを縮めることができなかった。次回のブタペストでは、バーチカルターンのところをしっかり対応していきたい」と話した。

3位のソンカは今回のレースについて、「(千葉大会は)非常に大事なレースになった。今シーズンは、これまでの2戦でファイナル4に残りながら失格になるレースが続いていた。今日は幸いテクニカルな問題はなくいいレースができたと思う。最後のファイナル4で機体が水平でないということでペナルティを取られたけれども、何とか良い結果を残せたのは幸いだったと思う」とコメントした。

また、次回のブダペスト戦ついてソンカは、「千葉のように熱烈なファンが訪れてくれると思っている。ブダペストは自分にとってでもホームのような場所。レース中は何が起こるかわからないけれども、それらを教訓として自分やチームとしてレースに挑んで良い成績が残せるよう挑戦していきたい」と語った。

レッドブル・エアレースは全8戦を戦い、合計得点の結果からワールドチャンピオンが決定される。千葉大会の結果により、シリーズランキングは1位がホール(今シーズン2勝、計36ポイント)、2位がグーリアン(同1勝、計36ポイント)、3位が室屋(今シーズン最高位2位、計19ポイント)、4位がソンカ(今シーズン最高位3位、計19ポイント)となった。次の第4戦はハンガリーの首都ブダペストで6月23〜24日(現地時間)で開催される。

マット・ホール選手 マット・ホールの機体 マイケル・グーリアン選手 マイケル・グーリアンの機体 マルティン・ソンカ選手 マルティン・ソンカの機体 左から2位のマイケル・グーリアン、優勝のマット・ホール、3位のマルティン・ソンカ レース語の記者会見会場には大勢のメディアが集まった 千葉大会を終えた後のシーズンランキング