ミルクを振りまき喜ぶパワー。

27日、気温30度を超す記録的な暑さの中で迎えた決勝。ポール・ポジションのエド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)のリードでレースは始まった。注目すべきは、新しいエアロキットを纏って初めてのスーパースピードウェイでのレースという点だった。

懸念されていたように前の車には近づけず、追い越しが極めて困難なレースになった。33台のマシンは大きく順位を変えずに、等間隔の車間距離を保って淡々と周回を重ねた。

オリオール・セルヴィア(スクーデリア・コルサ・ウィズ・RLL)が先頭で迎えた終盤戦。2番手のステファン・ウィルソン(アンドレッティ・オートスポーツ)も3番手のジャック・ハーヴェイ(メイヤー・シャンク・レーシング・ウィズ・SPM)も到底、ゴールまでもつ燃料は持っていなかった。

それでも彼らは残り11周で出されたイエロー・コーションを無視し、再度イエローが出ることを祈ってコース上に留まり続けた。残り8周でリスタートされると今度はウィルソンがリーダーの座を奪い、ハーヴェイが続いた。しかし、彼らの願いは叶わずグリーンが続き、3周を残したところで揃ってピットへ滑り込んだ。


これで堂々とトップに立ちチェッカーを受けたのがウィル・パワー(チーム・ペンスキー)だった。シリーズ・チャンピオン経験者のパワーが唯一まだ手にしていなかったのがインディ500の勝利だったのだ。地味な男がヴィクトリー・レーンで絶叫した。

2位にはカーペンターが入り、シボレー・エンジンのワン・ツーとなった。ホンダ・エンジンもディクソン、ロッシ、ハンターレイの3人をトップ5に送り込んだ。


ディフェンディング・チャンピオンの佐藤琢磨は残念ながら47周目にこのレース最初の脱落者となってしまった。周回遅れで急激にスローダウンしたジェイムズ・デイヴィソンを避け切れずクラッシュしてしまったのだ。

もうひとり注目を集めた女性ドライバーのダニカ・パトリックも、またクラッシュで67周で姿を消した。他にもカナーン、カストロネベス、ブルデーなど超一流のドライバーたちがウォールの餌食になっている。

これらのことからも新しいマシンがインディアナポリスでレースをするにはとても難しいものだということは明らかだろう。解決策が待たれる。

第102回インディ500、スタート。 優勝したウィル・パワー。 2位のエド・カーペンター。 3位のスコット・ディクソン。 佐藤琢磨 ダニカ・パトリック