Mubea社のブースに展示されていたBMW HP4レース用のCFRP製フレーム。一体成形だが、部位ごとにCFの方向性を変え、剛性を調整している。

人とくるまのテクノロジー展で注目すべきは、電動化や自動運転技術だけではない。あらゆる動きの効率を向上させる軽量化技術や、省燃費のための新構造、信頼性を高める精度や素材、製法の追求など、ものづくりに関心をもつ者を魅了する技術の宝庫だ。

軽量化で最も効果的なのは、軽量で強靭な炭素繊維を用いることだ。オートバイの分野でもより軽量化を進めるために、外装部品にCFRP(炭素繊維強化樹脂)を用いる例は増えているがホイールはおろか、ついにはフレームまでCFRP製が登場した。

BMWのスーパースポーツバイク用として開発されたCFRP製のフレームを展示していたのは、ドイツのサプライヤーMubea社のブース。同社は子会社にCarbo Techと言うCFRP専門企業も傘下に収めており、高品質なCFRP製品を自動車メーカーなどに納入している。

そのCFRP製フレームは、従来のアルミ製フレームの形状に近いもので、ピボット部にはアルミ合金製のライナーが組み込まれている。中空構造で要所には発泡樹脂などの充填剤によって強化されており、重量は何と8kg以下だとか。しかもねじり剛性は従来のアルミフレームとは比べ物にならないほど高いらしい。

このフレームは金型にカーボンファイバーを敷いて樹脂を注入するRTM製法によって作られており、年間5000台の生産能力が可能だが、このフレームを採用しているBMWのサーキット専用車「HP4レース」は750台の限定生産らしい。もっとも価格もおよそ1000万円と言われているから、腕と経済力の両方を持ち合わせていなければ、手に入れることは叶わないだろう。

今後、さらに排気量の小さいスポーツバイクにも、やがてこうしたCFRP製フレームが導入される日が来るのだろうか。

こちらは同じくHP4レース用のCFRP製ホイール。ハブ部分にはマグネシウム合金を採用し、構造用接着剤で接合している。 クルマのBピラーにもスーパーハイテン鋼を用いるだけでなく、CFRPを貼り合わせたハイブリッド構造を提案していた。 こちらは東京R&Dが展示したホンダのスーパースポーツRC213V-S用の外装部品。すべてCFRP製で同社が量産まで担当した。